[2009年激動のスポーツ界大展望]シリーズ
男女とも冠スポンサー撤退の不安素材ばかり
プロゴルフツアーの巻
●石川コケたらヤバイ
男子ツアーは昨年、視聴率(最終日平均6.9%)、ギャラリー動員数
(対前年比9万7000人増)とも大幅アップ。それもひとえにプロ転向した
石川遼(17)の活躍に負うところが大きい。
今年も石川の一挙手一投足に注目が集まるが、試合数は1増1減で昨年と同じ
25試合。賞金総額2億円、優勝賞金4000万円が7大会もある一方で、ツアーに
復帰する関西オープンは賞金総額が最も低い5000万、優勝賞金1000万円。
ツアーの体裁を保つため谷間の試合を組み込んだという感が否めない。
「これまでもツアー日程発表後に、大会開催が中止になった例はたくさんある。
石川人気で男子ツアーは活気づいているように見えるが、日程通りにいくかは
まだまだ不透明」と評論家の宮崎紘一氏がこう続ける。
「大手飲料メーカーのイベント担当者によると男子ゴルフはスポーツイベント
の中で最も費用対効果が望めないそうです。一般的にトーナメント開催費用は
賞金総額の3倍といわれる。大金かけて物が売れたり商売がうまくいくのなら
まだしも、効果がなく赤字の垂れ流しならさっさと見切りをつける企業も出てくる」。
トヨタ、パナソニック、キヤノンとわが国を代表する大企業の試合が昨年
からスタートした。ところが急激な円高・ドル安で輸出が急減し痛手を被る。
世界経済の状況次第では、今年が最後になることも十分に考えられる。
評論家の児島宏氏は、「問題は石川遼と競う若くて魅力のある選手がいない
こと」と言う。若い世代では東北福祉大学の永野竜太郎(20)や前粟蔵俊太
(18)らがファイナルQTを突破してツアー出場権を得たが、実力は未知数。
また石川が予選落ちすれば週末の視聴率がダウンという事態も避けられない。
石川にオンブにダッコ状態の男子ツアーは非常に危うい状態だ。
●女子は韓国勢が席巻
女子ツアーは20代プロが続々初優勝するなど“ツヨカワ(強くてかわいい
プロ)”が出現し、世代交代がスムーズに進む。今季は男子より多い34試合。
1試合あたりの賞金は前年より平均400万円アップしたが、3試合減った。
3年間開催したアコーディア女子ゴルフは今年から撤退し、主催者は米西海岸
の名門リビエラCCに会員など100人を招待することにした。試合をスポンサード
する魅力が薄れてきたからだ。
「女子ツアーは若いプロが力をつけておりバラエティー豊かなのですが、誰が
本当に実力があるのかわからない状況。今季は下手すればハングリー精神旺盛
な韓国勢に蹂躙(じゅうりん)されるかもしれない」(前出・児島氏)。
その韓国勢の躍進に女子ツアー関係者が頭を悩ます。「主催者にとってゲスト
を招くプロアマ戦の成否が一番気がかりなのですが、そのプロアマが不評。
最近は韓国プロが多く、言葉が通じない、会話も弾まなくて“つまらない”という
招待者が多い。スポンサー離れを心配する声が多い」(ツアー記者)。
男女とも波乱含みの2009年が始まるわけだ。
日刊ゲンダイ(2009/01/08)
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