七十五歳以上のドライバーを対象に、判断力などを簡易検査する「認知機能検査」が
今年六月から導入されるのを前に、警視庁は、東京都内で運転免許を持つ七十五歳以上の
人のうち、認知症と最終的に診断される可能性のある人が約千六百人に上るとの試算をまとめた。
警視庁は認知症が疑われる人には専門医がいる病院を紹介しており、今後、紹介件数の増加が
見込まれることから、委託先の病院を現在の都内六カ所から十カ所程度に拡大して対応する方針だ。
認知機能検査は、運転免許の更新時に三十分ほどのペーパーテスト形式で行う。日時を
答えてもらったり、動物などの絵を見てもらい、いくつ覚えられるかなど時間感覚や記憶力を確かめる。
警視庁運転免許本部によると、都内の七十五歳以上の運転免許保有者は昨年十一月現在で
約十六万二千人。警察庁が実施した認知機能検査の試験データをもとに同本部が独自に
分析したところ、1%に当たる千六百人程度が、認知症と専門医に診断される可能性があるとの
試算が出た。
警視庁は現在、交通事故を起こした高齢者に認知症が疑われる場合、各警察署から通報を受けた
運転免許本部が、専門医がいる委託先の病院を紹介している。昨年一月から同十一月までの
間に計二十一人が認知症と診断され、大半の人が免許証を自主返納。免許取り消しの行政処分を
受けた人も二人いた。
今年から従来の取り組みに加え、認知機能検査が導入されることから、警視庁は委託先の病院を
増やす必要があると判断。地域に偏りなく病院を確保するため、新たに四カ所程度の病院に
引き受けを要請している。
七十五歳以上の運転者が交通事故の原因になるケースは二〇〇七年、全国で四百二十二件発生。
その十年前の二百八十三件に比べて約一・五倍に増えており、同年の道交法改正で認知機能検査の
導入が決まった。
警視庁運転免許本部は「認知機能検査は高齢者から免許証を取り上げるためではなく、
その人に合った運転指導をするのが目的。高齢者の運転による事故が増えている背景も踏まえ、
理解を得ていきたい」としている。
<認知機能検査>
75歳以上の人が運転免許証を更新する際、判断力や記憶力などを調べる簡易検査。
(1)認知症の恐れがある
(2)認知機能低下の恐れがある
(3)認知機能低下の恐れなし−の3分類で本人に伝え、高齢者講習の内容にも反映させる。
(1)と判断され、かつ過去1年間に信号無視や一時不停止など15項目の基準行為に該当する
違反があった場合、専門医による診断(臨時適性検査)を行い、認知症と認められた場合、
免許取り消しなどとなる。
▼ソース:東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009010802000076.html