「これがお別れのキスだ。この犬め」。
イラクのバグダッドで12月14日に、記者会見中のブッシュ米大統領がイラク人記者に靴を投げつけられた事件は世界に
衝撃を与えた。イラク戦争に始まり、終わろうとしているブッシュ政権を象徴する出来事でもあった。
米国では、反イラク戦争を掲げる多くの歌が作られた。その代表格ともいえるのが、マドンナの「アメリカン・ライフ」(2003年
4月)だ。
物議をかもしたのは最初に作られたプロモーションビデオだった。軍服に身を包んだマドンナが仲間を引き連れ、ミリタリー・
ルックをテーマにした過激なファッション・ショーを急襲する。爆撃や戦禍で傷ついた子供たちのリアルな映像が挿入され、
足を失った兵士が舞台に連れて来られる。ショーの観客はそれをみてはやしたて興奮する。
反米国的と批判され、数週間の論議の末に、ビデオは差し替えられることになった。「戦争の正義」が米国内で今より
信じられていたからでもあった。
エンターテインメントニュースを扱うオンライン・マガジン「スラント・マガジン」のサール・シンコマーニ氏は「マドンナの作品の
中で最も政治的、対決的な作品」と評し、「彼女は自分の信じるところを貫き、圧力に耐えるべきだった」と、ビデオの差し替えは
マドンナらしからぬ選択だったと振り返る。だが、歌詞そのものに反戦色はなく、米国の価値観、自身の人生への疑問と迷いが
歌い上げられている。
♪名前を変えなきゃいけない? そうすれば成功する? もっと体重を減らした方がいい?
私はアメリカン・ドリームっていわれるものの中では生きていないのよ。分かったのよ、それがいかに無価値なのかって。
楽曲としての評価は低かった。だが、金融危機の暗雲が米国を覆い、この国の繁栄を支えてきた3大自動車メーカーが
経営の危機にひんしている今、「アメリカン・ライフ」は切実感をもって見直されている。シンコマーニ氏は「物質主義に毒された
米国社会への批評として共感を呼んでいる」と語る。
歌詞にはこんな部分も出てくる。
♪あなたは私がこれまで出会った中で最高。あなたはただの夢じゃない。
米国はオバマ次期大統領に希望と夢を託した。オバマ時代にはどんな歌が作られていくだろうか。
ソース(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/081228/amr0812282100005-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/world/america/081228/amr0812282100005-n2.htm 写真=改訂版のプロモーションビデオで、ミリタリールックで、世界各国の国旗をバックに唱うマドンナ
http://sankei.jp.msn.com/photos/world/america/081228/amr0812282100005-p1.jpg Madonna - American Life video - Director's cut(YouTube)
http://jp.youtube.com/watch?v=RW9BCccxfvE