★首相『ガザ攻撃辞さず』 イスラエル世論配慮し警告か
【カイロ=浜口武司】イスラエル政府は、パレスチナ自治区ガザからのロケット弾攻撃を封じるため、
近く軍事攻撃に着手することを決断したもようだ。今月十九日にガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの
停戦が期限切れとなり、二百発以上のロケット弾や迫撃砲がイスラエル領に着弾。イスラエル国内で強硬論が台頭していた。
オルメルト首相は二十五日、中東の衛星テレビ「アルアラビーヤ」に出演し、ガザ住民にハマス支配を終わらせるよう要求。
「これが最後の機会だ。われわれはハマスと武装勢力への攻撃をためらわない」などと話した。同首相はパレスチナ自治政府との
和平交渉に熱心で、ガザ攻撃に消極的だったが、軍事攻撃を求める国内世論の圧力に屈した形だ。
また、エジプトのムバラク大統領と会談したリブニ外相も「ハマスは(ロケット弾攻撃の)代価を払わなければならない」と述べた。
ムバラク大統領は自制を求めたが、同外相はこれを拒否。エジプト政府などが用意した人道支援物資のガザへの搬入は受け入れた。
イスラエル紙ハーレツによると、薬や燃料を積んだ約九十台のトラックの一部が二十六日、ガザに到着した。しかし、
支援物資の搬入は軍事攻撃で、ガザが人道危機に陥り、国際社会の批判が高まるのを避けるための予防措置との見方が出ている。
他方、実際に軍事作戦に出た場合、イスラム原理主義勢力と緊張関係にあるレバノンの国境などで緊張が高まるのは必至で、
首相らの発言は警告にすぎないとの指摘もある。
ガザの政治評論家タラル・オカル氏は本紙に「軍事作戦は空爆や限定的な地上作戦に限られるだろう。ハマスを批判しながら、
実際は二月の選挙を前に、イスラエルの国内世論を満足させることが目的だ。一方、この攻撃でイスラエルや自治政府への
批判が強まるので、ハマスは逆に喜ぶだろう」と指摘する。
▼ソース:東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008122702000106.html