★斎藤氏派、吉村氏出馬に慌て根回し 山形県知事選
来月8日に告示される山形県知事選(25日投開票)で、山形県内35市町村の首長のうち26人が現職で再選を目指す
斎藤弘氏(51)の支援に回った。1期目の斎藤氏は、市町村への各種補助金の一律削減や合併推進など強い姿勢で臨み、
反発する首長は少なくない。その中で支援組織の設立は、有力な対立候補の出現という「想定外の事態」(陣営幹部)が
影響したためだ。危機感を募らせた斎藤氏派の首長らが周到に、したたかに根回しを重ねた。(山形県知事選取材班)
<前回は1市長のみ>
山形市内で22日、斎藤氏を支援する市町村長の会が発足した。
「知事と市町村長は密接な関係であるべきだ。情報の共有が大事だ」
会長に就いた富塚陽一・鶴岡市長はあいさつの中で、隣に座る斎藤氏に念を押すように語った。
一期目、斎藤氏は、市町村合併に消極的な首長に対し「まさかポストに固執しているのでは」と言ったり、置賜地方の合併勉強会が
解消された時に「こうなると思った」と発言したり、強気な態度が目立った。
前回選挙で斎藤氏を全面支援した首長は、土田正剛・東根市長だけだった。支援組織会長の富塚市長も落選した
高橋和雄前知事を支援した。
「市町村に対する斎藤氏の『強さ』は、就任当時、大半の首長が『敵』だったからだ」。自民党県議の1人が解説する。
<急な地域別懇談会>
今回の支援組織づくりは、当初予定にはなかった。陣営が動きだしたのは、新人で行政書士の吉村美栄子氏(57)が
立候補を表明して数日たった今月上旬。吉村氏の「冷たい県政」批判の広がりを懸念した土田市長と自民党の
遠藤利明衆院議員が、根回しに奔走した。
時を同じくして、斎藤氏は急きょ、公務日程に全首長との地域別の懇談会を追加した。出席した村山地方の町長は
「知事と首長の懇談は、この4年間要求し続けた。任期間際にやっと実現した」と皮肉めいて話した。
この間、県立新庄病院の「県立維持」など、斎藤氏に「現職の強み」を発揮した発言が目立ち始める。斎藤氏が進めた
「聖域なき歳出改革」は「めりはりある予算運営」に軸足を移していく。
斎藤氏陣営が描くシナリオに、県内の首長も呼応し始めた。共産党勢力が吉村氏の支援に乗り出したことも判断材料に加わり、
「選挙戦の流れを読んだ」(遠藤衆院議員)首長が、続々と参加を了承していった。
<会の効果「懐疑的」>
結局、県内の4分の3の首長が加わった形だが、温度差も大きい。斎藤氏の支援の会に名を連ねた首長は「参加しないと、
現在の事業に支障が出てしまう」「選挙結果によっては、また冷遇される」などと打ち明けた。
支援効果に懐疑的な見方もある。斎藤氏は支援の会発足について「首長が一致団結することは全県から支援をもらったに等しい」と
話した。
しかし、無投票当選を重ね、選挙基盤が弱い首長も少なくない。「斎藤氏にしっかりした票を出せる首長は1人か2人」と
厳しい見方をする市長もいた。
支援の会に不参加の市長は山形、南陽、村山、寒河江の4市。このうち、市川昭男山形市長は「中立」を表明した。
佐藤清村山市長は「心情的には吉村氏」と話した。
▼ソース:河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/12/20081227t51009.htm