WBC日本第1R最大の敵「ダブルエリミネーション」 試合予定分からず、TV中継困難
15日夕、WBC日本代表候補45選手が発表される。日本にとっては連覇が
かかる大会だが、主催者・大リーグ機構(MLB)の相変わらずの独断興行の
あおりで、東京ラウンドは不評サクサクだ。総当たり制でないために、前売り
切符は売れず、テレビ局も頭を抱えている。(夕刊フジ編集委員・江尻良文)
東京ラウンドの主催者は、一応読売新聞社になっているが、実際はMLB
から委託されているようなもので、上意下達の一方通行になっている。
事情通の球界関係者がこう内幕を明かす。
「MLBは何を言っても耳を貸さない。2度負けた時点で敗退が決まる今回の
ダブルエリミネーション方式だと、日本代表の試合日が最初の中国戦しか
分からない。こうなると、当然前売りの切符は売れないし、中継したいテレビ局
も頭が痛い。放送日が直前まで特定できないのでは、スポンサーもなかなか
つかない。だから、中継料の値下げが必要では−と言っても分からない。
日本側の事情をいくら説明しても、MLBは全く知らん顔だというからね。
読売関係者、日本プロ野球組織(NPB)関係者もほとほと困り果てている」。
東京ラウンドで決まっている組み合わせは2試合だけ。ゲーム1として、
3月5日(木)に日本代表が、コリンズ監督率いる中国代表と対戦。ゲーム2
として6日(金)に台湾代表Vs韓国代表。事前にはこの2試合のナイターの
日程だけしか分からない。あとは勝敗で試合日と時間が順次決まっていく。
7日(土)のゲーム3がデーゲームで「ゲーム1敗者Vsゲーム2敗者」。ゲーム4
は同日にナイターで「ゲーム1勝者Vsゲーム2勝者」となる。8日(日)のゲーム5
では「ゲーム3勝者Vsゲーム4敗者」の試合がナイターで行われる。そして、
最終日の9日(月)にゲーム6として、「ゲーム4勝者Vsゲーム5勝者」となる。
「まさか日本が中国に負けることはないだろうから、7日のゲーム4のナイター
までは予定ができても、あとは分からない。ファンにしたら前売りを買うに買え
ない」と前出の球界関係者はダブルエリミネーション方式の欠点を指摘する。
事前に日本代表の試合日が分からない対策としては、「6試合通し券」の
発売があるが、指定席S4万5000円、指定席A3万2000円という高額では
予想通り売れていない。それでなくとも、そもそも日本代表の試合にしか
関心のないファンがほとんどなのだから、売れなくて当たり前だ。
商売最優先のMLBがなぜ、ダブルエリミネーション方式にこだわるのか?
メジャー通の球界関係者は「ダブルエリミネーションは米国では当然のように
行われている方式で、弱いチームが早く敗退するのは常識という考え方がある。が、
米国では2、3000人しか入らないからやれる方式なので、日本のように当日にファン
が殺到したら問題が起こる」とこう語る。実際に11月16日に行われた西武Vs統一
ライオンズ(台湾)のアジアシリーズ決勝戦は、それまでの8000人程度という不入りから
一転、大半が当日券で1万5000人ものファンが殺到し、東京ドームの窓口は大混乱。
最後の方のファンは試合開始後にしか球場に入れなかったという異常事態が起こった。
前売りはサッパリ、日本代表が勝ち進めば一転して当日券のファンで大パニック
の恐れもあるわけだ。球場に行けないファンはテレビ観戦となるが、そのテレビ局も
事前に日本代表の試合予定が分からず頭を抱える。日本代表候補の中日勢の
全員辞退で一騒動あったWBC。今後も予期せぬ事態勃発は避けられそうにない。
▽ソース ZAKZAK 2008/12/15
http://www.zakzak.co.jp/spo/200812/s2008121531.html ※モバZAKで記者自ら確認