【ノーインテリジェンス】 KY田母神空幕長の国益空爆 不用意な情報発信は危機管理意識の死角から

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9ランボルギーニちゃんφ ★
>>8の続き

●もしこれがドイツだったら

 この「国益自爆広告」には多数の国会議員も署名していましたが、主にリードしたのは評論家など
民間サイドと考えられています。しかし、今回の田母神「<論文>」は、民間企業が準備したレールの
上とはいえ、現役の航空自衛隊幕僚長たる重責の人物が、名と職位を添えて、日本語ならびに英語で、
政府見解と真っ向から対立する内容を国際発信するという、過日の中山前国交相の自爆なみに、
通常では考えにくいことが起きてしまっている。
 その影響の甚大さが事前に読めなかったとすれば、申し訳ないですが、まさに「空気読めない」KYとしか
言い様がありません。現役武官が、しかも今のような国際情勢のタイミングでこんなことをすれば、
国益を直撃することが、なぜ判らないのか。ただただ理解に苦しみます。
 この「<論文>」は要するに、現役のドイツ空軍総司令官が「第2次世界大戦中、
ナチスドイツはポーランドで酷いことをしたかもしれないが、よいこともしていたのだ。
アウシュヴィッツもあったかもしれないが、経済が活性化した側面もある」と発言するのと同様の、
国際政治上の意味を持ち得てしまうものです。もしこんな空軍総司令官がいたなら、
ドイツはいったいどんなことになるか(そんなことはあり得ませんが)。
 しかしこれは、日本国で紛れもなくいま発生しかかったリスクです。
防衛関係者は将官を含め、内部の研修その他をこの際徹底的に行うことを、強く勧めたいと思います。
これは値引きなしに「国難」です。田母神氏の場合、自覚なしに確信を持っているのが明らかなので、
まだ省内に残っている可能性のある、基本ルールの誤解や無理解を是正するのには、かなりの時間と
粘り強い教育努力が必要かと思われます。
 今回の田母神空幕長の「<論文>」は、ワシントンポストの意見広告中に、長年外交の最前線に居られた
岡崎久彦元タイ大使の名があったのと、やや似たものを感じます。岡崎さんは内容をよく確認せず
名を連ねた可能性が高いように思いますが、田母神氏は国際情勢を考えずに、自分個人の信念である
「持論」を、時宜と職位の責任感と無関係に発信して「これほどの大騒ぎになるとは予測してなかった」
「解任は断腸の思い」と述べているのは、要するに考えてなかった、危機管理の意識が
完全に欠落していたことを、自ら素直に吐露しているのだと思います。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081104/176177/?P=4

 個人として田母神さんという人は、きっといい人なのだと思います。人情家で信望も厚いのでしょう。
しかし、現役の航空幕僚長に求められるのは、確かな見識に基づく、脇の締まった危機管理能力で、
自分の思いに振り回されて、本心を触れ回るなどということは、将たるもののするべきことではありません。
田母神氏は訳がわからないまま「定年退職」となってしまいましたが、問題の根をうやむやにすることなく、
後任の幕僚、幕僚長諸官には、その自覚を明確に持ってもらわなければ、麻生首相のいう「再発防止」は
絶対に繋がりません。

(続く)