>>6の続き
●田母神「<論文>」を検討する
以下は「引用」ではなく、論理的な整合性なく末尾に突然出てきた「イイタイコト」の一部です。
「文明の利器である自動車や洗濯機やパソコンなどは放っておけばいつかは誰かが造る。
しかし人類の歴史の中で支配、被支配の関係は戦争によってのみ解決されてきた。
強者が自ら譲歩することなどあり得ない。戦わない者は支配されることに甘んじなければならない。」
(「日本は侵略国家であったのか」田母神俊雄 p.7)
これでは、したたかなロジックの展開としては通用しません。
もし誰かの「引用」として出典を明記すれば、まだなんとかなりますが、ここでは根拠なしに
単に断言してしまっているので、もし交渉ごとなどで、その点を突かれれば、論破されて負けです。
脇が甘いのです。きちんと添削的に指摘するならば
◎「戦争によって<のみ>」とあるが、本当に<のみ>であるか?
←<のみ>という表現は、一つでも反例を出されたら論拠が崩れてしまう。もっときちんとした推敲を勧める。
◎「強者が自ら譲歩することなどあり得ない」云々
←同様に「あり得ない」と言い切れば「ある」と反例を出された時点で負けてしまう。
例えばスウェーデン政府は「ノーベル平和賞」の胴元となることで、激動の20世紀100年間、
武装中立国家として、ヒトラーのナチスドイツ(ノルウェーまで進駐)、スターリンのソ連(フィンランドまで進駐)
双方の武力侵攻を政治的に防ぐ巧妙な外交戦略を成功させている。一つの反例で容易に崩れる断言口調では
粘り強い交渉には耐えない。より強靭な論の建て直しを勧める。
などと指摘しなければなりません。
もうひとつ、読者のために、根拠なしに記された「イイタイコト」を引いておきましょう。
この答案にはすぐに論破されてしまう弱点がいくつかあります、それはどこでしょうか?
またこれを強くするには、どのようにすればいいでしょうか?
「人種平等の世界が到来し国家間の問題も話し合いによって解決されるようになった。
それは日露戦争、そして大東亜戦争を戦った日本の力によるものである。」
(「日本は侵略国家であったのか」田母神俊雄 p.7)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081104/176177/?P=3 (続く)