【ノーインテリジェンス】 KY田母神空幕長の国益空爆 不用意な情報発信は危機管理意識の死角から

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3ランボルギーニちゃんφ ★
>>2の続き

●弛みきった軍紀こそ最大の問題
 多くの報道が「田母神論文」の内容についてすでに批判していますので、ここではそれを繰り返すのではなく、
やや異なる2つの指摘をしたいと思います。連載をご覧の読者はご存じのように私はかなり徹底したハト派ですが、
建設的な批判は相手の立場に立たなければできません。大学で教養学部の1年生などを教えていると、
いろいろな考え方の学生がいます。教師である私とは立場の違う意見の学生も多いですが、指導するときには、
相手の立場に立って話さないと教育的効果がありません。それと一緒にするようで恐縮ですが、私自身が今回は
防衛当局の立場に立ったものとして、以下の議論を進めたいと思います。
 田母神氏の第一の問題は、政府、防衛省の観点から見るとき、危機管理体制としての情報統制が全く
とれていないことです。これをまず指摘しなければなりません。
 昨年の2月、私はNHKの「地球特派員」という番組の取材でアメリカ、ノースカロライナ州フォートブラッグ基地に
体験入隊して、インタビューや訓練参加などしたのですが、そのときの軍人たちの、発言への気の張りようは
大変なものでした。
 彼らの最高司令官は大統領である「ジョージ・ブッシュJr.」で、その施策へのあらゆる論評は
「軍務規定違反」とされ、職位を失う理由とされてしまうからです。憲法の保障する個人の内心の自由とともに、
軍人としての宣誓=契約と義務の履行への強い意識は、大変印象的でした。
 ところが今回の田母神氏のケースでは、空幕長という責任ある立場にある者が率先して防衛省の内規を
おろそかにしており、しかもそのけじめ、歯止めが完全に不在、まったく無自覚であることを露呈しています。

NBonline http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081104/176177/

 内規で、隊員が職務に関する意見をメディアなどで発表する際、必ず文書で上司に届けなければなりません。
空幕長は官房長に連絡する必要がありましたが、田母神氏は「論文」を「職務に関係ない、個人的な研究内容」
と強弁し、正式な文書報告を怠り、背広組には口頭連絡だけでお茶を濁して、かつての「来栖発言」以来の
問題を起こしてしまいました。
 こういう状況を「軍紀の乱れ」と言います。命令系統を将官が率先して混乱させるという意味では
戦前の関東軍が暴走するのと本質的に変わりがない、という事実を、もっとシリアスに認識すべきです。
 ところが、「定年退職」の処遇が決定した11月3日夜、田母神氏は平服での記者会見を、
やはり防衛省内局などへの報告を怠ったまま省外で行いました。すでに自衛官ではない、というつもりなのかも
しれませんが、立つ鳥後を濁さずの言葉もあるとおり、もし一軍の将として最後の記者会見をしたのであれば、
内局への報告は不可欠だったと思います。その辺りの公私の「使い分け」をしてしまうところが、
田母神氏最大の問題の一つでもあります。

(続く)