【ノーインテリジェンス】 KY田母神空幕長の国益空爆 不用意な情報発信は危機管理意識の死角から

このエントリーをはてなブックマークに追加
11ランボルギーニちゃんφ ★
>>9の続き

●「あなた任せ」の情報発信スケジュール
 さらに現状では、今回の「<論文>」は、主催者のホームページによれば「受賞作品13件をまとめて(中略)
表彰式と併せて出版」することになり「受賞作品はすべて英訳され、広く世界に向けて発信してゆく予定」
と記されています。
 この「表彰式および記者会見」は「平成20年12月8日」に行う予定とのこと。田母神氏が言うように
「こんな騒ぎ」にはならず、もし断腸の思いである解任もなかったら、つまり今回万が一チェック機能が働かず、
この話がスルーしてしまっていたら、一企業が考えたレールに沿って「真珠湾攻撃」の記念日に現役の
航空幕僚長が、文民統制をうたう日本国自衛隊の最高司令官、内閣総理大臣と全く異なる意見を公式に表明して、
それで賞を受け、300万円と宿泊券という金品も受け取り…考えるだに、あり得ないことが起きていたはずです。

 もし12月8日、真珠湾攻撃の日に、真珠湾攻撃の参謀で後に特殊奇襲攻撃の発案にも加わった、
源田實・帝国海軍大佐=第三代航空幕僚長の後任官である田母神氏が、現役の空幕長として
「日本は太平洋戦争に引き込まれた被害者だ」と「論文発表」して「賞」を受ける、といった情報を
米国当局が手にしたら、どれだけ効力をもつ「カード」として日本を不利に陥れていたでしょうか?

 事は「連休後の国会審議」やら「給油法案」などのレベルではなく、冗談ではなしに
サンフランシスコ講和条約以来の日米関係にも影響しかねない、最悪の事態になっていた所でした。

 これは決して過ぎ去ったことではなく、実際に12月8日に空自を去った田母神氏が同様の
行動を取ることで、米国を含む諸外国(!)から日本に圧力が加えられる可能性は、いまだ残っています。
 内閣、防衛省には、退任後の田母神氏の行動と明確にケジメを引き、外交に一切の
悪影響を与えない対応マニュアルを、早急に準備することを薦めます。
 「ドイツがポーランドに…」という喩えは、全くしゃれになっていません。
昨年6月の「ワシントン・ポスト」でマイク・ホンダ決議という地雷を踏んだばかりの日本です。
今回の事態は、「定年退職」などでお茶を濁すべきものではなく、自衛官の意識まで踏み込んで、
よくよく再検討を必要とする重篤なものです。
 田母神氏のような行動がどうしてありえないものなのか、それを直感的に理解していないとすれば、
それは危機管理意識に死角があること、つまり「弱点」以外の何ものでもありません。
ここを諸外国から突っ込まれたら、そこから大きく国益を損なうことは、マイク・ホンダの下院決議などと
全く同じ構造ですが、今回のケースは武官の現役トップに関することですから、問題は比較にならないほど重大です。
 これは、左翼とか右翼とか、そんなレベルで意見が対立する問題ではありません。不注意によって、
まさに国難となり得る状況が生まれかかっていたことを本気で心配します。
 仮に内容の問題にすべて目をつぶっても、これだけ政治的な意味を持ってしまう日程を、一般企業が
お膳立てしてしまい、それに「あなた任せ」で乗ってしまった幕僚長の責にある空将が無自覚に
国際問題を起こしかけていた、その事実に、心胆寒からしめられる思いがします。
 もし読者が、真剣に自衛隊を大事に考える人であるなら、国際社会から見て
「日本のディフェンス・フォースは命令系統も情報統制もめちゃくちゃです」と、あろうことか
アメリカが未だにアレルギーを持つ真珠湾攻撃の日に現役の空将が英語で発信することが何を意味するか、
考えてほしいと思います。この日程を考えた人は、日米関係をどうするつもりだったのでしょうか?

(続く)