★インド首相:日本との将来の原子力協力、進めたい−首脳会談
10月22日(ブルームバーグ):麻生太郎首相は22日午後、首相官邸で日本を訪れている
インドのシン首相と首脳会談を行った。席上、シン首相は日本との原子力分野での協力を
進めたい考えを表明。これに対し、麻生首相はその後の記者会見で、
インドが核実験のモラトリアム(一時停止)を継続する必要性などを指摘した上で、
日本政府としては慎重に検討したいとの姿勢を示した。
麻生首相は会見で、シン首相の会談での発言を紹介した上で、インドに対し、
「核実験のモラトリアムの継続を含めて、約束と行動をしっかり果たしてほしい」と指摘。
将来のインドとの原子力協定締結については「さまざまな要素を考慮する必要がある」
と述べるにとどめた。
これに対し、シン首相は会見で、「日本ではこの問題はセンシティブなことと認識している。
日本政府や国民が安心できるペースで進めたい」と日本側の事情に配慮して対応したいとの
認識を明らかにした。
インドは10月には米国と民生用原子力の協力協定を結んでおり、日本側との交渉に
注目が集まっていた。日本は核兵器などに転用できる部品の輸出を規制しており、
原子力協定はこの輸出規制を例外的に緩和するための2国・地域間の取り決め。
日本は協定を結んでいないインドには輸出できない。
ウランなど核燃料のコンサルティングを手がけるトレードテックの駐日代表、
田上雄司氏は「結局は米国に追従する可能性が強いと思う」と述べ、
インドとの協定締結は「時間の問題」と指摘した。
●麻生首相:鉄道建設への円借款供与を表明
また、麻生首相は、デリーとムンバイを結ぶ貨物専用鉄道の建設計画について、
「新たな協力のシンボルとして円借款を開始することを決定した」と表明した。
具体的な金額については、日印両政府が公表した共同声明では、計画の第一段階
(レワリ−バドダーラ間)だけで「現時点で約4500億円と概算されている」と明記されている。
●安全保障協力
両首脳は共同声明とは別に、安全保障面での協力強化をうたった日印間では
初めての「安全保障共同宣言」を発表した。安全保障協力を促進していくための
行動計画を作成していくことなどを明記した。
Bloomberg
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003008&sid=amF6FiFPwAtQ