10月4日14時37分配信 読売新聞
米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)による事故米の不正転売事件を受け、製品の自主回収や
廃棄を余儀なくされた食品関連業者は全国で17業者に上り、損害額は31億円を超えることが
読売新聞の調べでわかった。
不正転売の発覚から5日で1か月。風評被害による売り上げの落ち込みを加えると、
損失はさらに拡大するとみられ、事故米の流通を許した国に損害賠償を求める動きも出始めている。
自主回収などに乗り出しているのは、三笠フーズや接着剤製造「浅井」(名古屋市)、
でんぷん製造「島田化学工業」(新潟県長岡市)による事故米の転売先で、酒造会社が9業者、
菓子製造が5業者、医薬品製造が2業者、食品製造1業者。このうち医薬品製造の2業者は
製品の回収途中で、事故米は使用されていないことが判明し、回収を中止した。
損害額が最も大きいのは、芋焼酎「かのか」など9商品65万本の回収を進めるアサヒビール(東京)で約15億円。
芋焼酎「薩摩宝山」など47万本を回収している西酒造(鹿児島)は約8億6800万円を見込む。
同社は三笠フーズなどに損害賠償を求める訴訟も起こし、風評被害による売り上げの減少分なども
含め約19億7000万円を請求している。
焼酎メーカーを数多く抱える鹿児島県では、奄美市の「西平酒造」が、自主回収を発表した同市内の
酒造会社「西平本家」と会社名が似ていたことで注文が激減しており、「死活問題」と危機感を募らせている。
風評被害は業界全体に広がり、鹿児島県酒造協同組合は「風評被害は検査体制の不備が原因」として
国に損害賠償を求めることを検討している。
菓子業界も、お彼岸の時期と重なったためダメージが大きく、週明けには兵庫県内の菓子製造会社20〜30社が
共同で、安全なメーカーリストを新聞に掲載するよう農林水産省に要請する。このうち1社は「対応次第では国を
提訴することも辞さない」としている。
農水省は、大阪農政事務所の元課長のほかに職員11人が三笠フーズなどから手みやげをもらったり、
飲食を共にしたりしていたと発表したが、「職員の身分保障」を理由に所属の農政事務所名すら公表していない。
転売先として名前を公表された企業の担当者は「我々は実名を公表されて大変な被害を受けているのに、
農水省は身内に甘すぎる」と怒りが収まらない様子だった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081004-00000024-yom-soci