★辞任劇「日本の信頼低下」 東北の外国人に聞く
「政界は一寸先は闇」を地でいった福田康夫首相の退陣表明。1年前、安倍晋三前首相が
やってのけた唐突な退場劇が繰り返された。ねじれ国会や支持率低迷で力尽き、
あっさりと政権を投げ出してしまった日本のリーダーたち。この異常な政治状況は、
日本に住む外国人の目にどう映ったのか。東北で暮らす海外出身者に聞いた。
「首相が2人続けて突然退陣したことで、国際社会の日本政府への信頼は間違いなく低下する」。
韓国人で東北大大学院国際文化研究科の劉庭秀准教授(41)=仙台市青葉区=は言い切る。
日本政治への評価も厳しく、「国会は二世、三世の世襲議員が多く、庶民の生活や
開発途上国の現状を把握しているとは思えない」とばっさり。改善の方策として
「多様な経験を持ち、国民の意見を聞く政治家を育てる必要がある」と言う。
カナダ人で福島県国際交流協会のマクマイケル・ウィリアムさん(26)=福島市=は
「辞め方がいいかげんだ」とあきれる。自民党政治には疑問が多いようで
「元首相が権力を握っているなど、裏で操るような手法には違和感がある。
首相がリーダーとは思えない」。
福田首相の退陣を「熟慮の末の決断」と受け止める人も。
中国人留学生の于文蓉さん(21)=福島市=は「自民党内の支持や協力が少なく、
追い詰められたのかもしれない。景気対策など大変な時期だったので、
『無責任』と切って捨てるのは少しかわいそう」と同情した。
同じ中国人で老人福祉施設職員の張衛玲さん(45)=宮城県大河原町=は
「福田さんの温厚そうな人柄が印象に残る。日中関係も好転させてくれた。
次の首相は指導力を発揮してほしい」と残念そうに語った。
米国人で大学職員のブライアン・スターキーさん(34)=青葉区=は
「トップがころころ代わるのは駄目。自民党政権存続を優先させた退陣で、
国のことを思っての判断ではない」と突き放した。
11月には米大統領選が行われる。「わが国の政治家は困難に立ち向かう意思が強い。
(日本の政治家は)国民と対話しないから簡単に辞めようとする。
もっと市民と触れ合い、覚悟を持った人が首相になるべきだ」と注文を付けた。
河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/09/20080903t71019.htm