★混乱のタイ「非常事態宣言」
【バンコク=菅沢崇】タイの首相府近くで2日午前1時(日本時間同3時)ごろ、
タイの反政府市民団体「民主主義のための市民同盟」(PAD)と
親政府組織「反独裁民主連盟」双方のメンバーが衝突し、PAD側の少なくとも
1人が死亡、約40人が負傷した。流血事件を受けて、サマック首相は非常事態宣言を発令し、
事態収拾に当たっている。首相府周辺の治安は一応の回復をみせているものの、
国鉄が全面ストップするなど混乱は収まっていない。
反独裁民主連盟の支持者は1日夜、主にバンコクの王宮前広場に集結していたが、
首相府の敷地内で抗議を続けるPADの集会に向けて移動を始め、警察当局の制止を押し切り、
敷地内で双方のメンバーが乱闘になった。
ゴルフクラブや棍棒(こんぼう)、刃物を使用しての激しい乱闘のほか、発砲もあった。
死亡したPAD支持者も銃で胸を撃たれたとみられる。
乱闘の制圧は盾だけを所持した警官隊が行ったが、アヌポン陸軍司令官は兵士200人を動員し、
警戒に当たっている。首相府敷地内や付近のスイ・アユタヤ通りなどには依然として
PADメンバーが座り込みを続け、敷地外には「反独裁民主連盟」の支持者らが集結している。
PADは8月26日、反政府デモを開始し、バンコクの国営テレビ「NBT」を占拠したほか、
警察本部前や首相府前でデモを展開。その後は首相府前に特設ステージを設置し、
幹部らが抗議の演説を繰り返しながら、南部の空港へ乱入するなどした。
国鉄では便乗デモに加わる職員も出て、一部路線が運休。
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/080902/asi0809021004004-n1.htm 政府側はサマック首相が「デモに屈する形で辞任はしない」と再三にわたって言明。
警官隊を動員し、解散の説得を続けたが一向に沈静化せず、8月31日に実施された
上下両院による特別会議でも連立6党の与党と民主党の野党が非難合戦を展開するだけで、
解決のめどは立たないままだった。
首相はこれまで、デモの拡大と深刻化を懸念し、非常事態宣言も軍の動員も
行わないと語っていた。しかし、2日未明には乱闘の結果、死者が出たうえ、
3日には国営企業の水道、電気会社がそれぞれ、バンコクでの供給を止める
計画を打ち出すことにしているなど、これ以上の混乱の拡大を抑制するため、
宣言に踏み切ったとみられる。
産經新聞
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/080902/asi0809021004004-n2.htm