★JR西日本社長「相当処分」へ 福知山線脱線事故
兵庫県尼崎市で平成17年4月、乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、
県警尼崎東署捜査本部が、JR西日本の山崎正夫社長(65)を業務上過失致死傷容疑で
書類送検する際、「相当処分」を求める意見を付ける方針を固めたことが5日、分かった。
相当処分は、警察が送検の際に付ける犯罪事実や情状に関する4段階の意見のうち、
「厳重処分」に次ぎ2番目に重い。捜査本部は、直接的原因ではないものの、
現場カーブの付け替え時に鉄道本部長だった山崎社長に安全対策を十分に取らなかった
過失があったと判断したもようだ。
捜査本部は、事故電車の高見隆二郎運転士=当時(23)=や、山崎社長ら被害者から
告訴された歴代のJR西幹部ら計約10人を9月中に同容疑で書類送検する方針。
今後、具体的な時期などを検察当局と協議し、早ければ1カ月程度で結論を出すとみられる。
書類送検されるのは、2人のほか、現場カーブを半径600メートルから同304メートルに
付け替えた8年当時の池上邦信・安全対策室長、長谷川進・運輸部長。
また事故当時の徳岡研三・鉄道本部長▽村上恒美・安全推進部長(旧安全対策室長)
▽三浦英夫・運輸部長▽運輸部長経験者の橋本光人・大阪支社長ら。
さらに、山崎社長の前任の鉄道本部長だった梅原利之・JR四国元会長ら元幹部ら
数人についてもすでに同容疑で事情を聴いており、書類送検を視野に捜査を進めている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080806/crm0808060201002-n1.htm 山崎社長は県警が先月から行っている被疑者聴取で事故の「予見可能性」を否定している
もようだが、現場カーブへ自動列車停止装置(ATS)を整備していれば事故を防げたとの
認識は示しているという。
捜査本部はこれらの聴取結果などを踏まえ山崎社長について、現場カーブ付け替えの際、
鉄道の運行を統括する鉄道本部長としてATSの整備などの十分な安全対策を怠った
「不作為の過失」があると判断した。
遺族らのJR西幹部に対する強い処罰感情などに配慮する一方、事故の直接原因は
高見運転士の速度超過であることや、安全対策の不備が事故につながると予見できた
可能性を公判で立証するのは容易でないと予想されることを考慮。送検の際に強く
起訴を求める「厳重処分」ではなく、刑事的責任に応じた処分を求める「相当処分」の
意見を選択し、立件の最終判断を検察当局に委ねる。
書類送検を受け、神戸地検は、山崎社長ら幹部の起訴の可否について慎重に検討するとみられる。
事故で死亡した高見運転士は不起訴となる見通し。
産經新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080806/crm0808060201002-n2.htm