★今「平和」を考える(上) 広がる貧困 希望どこに '08/8/4
平和とは、単に「戦争がない」状態ではない。もっと幅広く、人々が暴力や差別、
貧しさなどに苦しむことなく希望をもって生きていける状態を指す―との考えが広がっている。
そうした見方をしたとき、日本は果たして平和なのだろうか、と疑問がわいてくる。
秋葉原の無差別殺傷事件は、今でも多くの人々の心に複雑な感情を残しているだろう。
容疑者の生い立ちや性格なども犯行に関係するかもしれない。しかし見逃せないのは、
派遣社員として寮から工場に通っていて、契約打ち切りの対象になるおそれもあった、
という容疑者の置かれていた環境である。
現在、働いている人の三分の一が非正規雇用。その典型的なケースの一つといえるからだ。
低賃金でいつ解雇されるか分からない。短期の仕事でスキルが身に付かない。
人間関係がつくれず帰属感が得られない。長く勤めたとしても昇給がない…。
それが非正規雇用のマイナス面である。
「一つどこかでつまずくと蓄えはなくなり、住む所も失う。業者は、そういう若者を
『寮がある』と誘い、工場に派遣している」
働いていても生活が苦しい人たち(ワーキングプア)を支援する首都圏青年ユニオンの
河添誠さんが広島市で話した実態だ。
こうした生活に陥ると容易には抜け出せず、次第にプライドが壊れていく。希望が持てず
精神的にも不安定になる。何かをきっかけに自暴自棄になれば、社会に刃を向けたくなることが
あるかもしれない。「やったことは許せないが気持ちは分かる」と同じような立場の人が言う。
ワーキングプアの増加に伴って貧困層が広がっている。厚生労働省によれば年収200万円に
満たない世帯が約2割に達する。貧困率という物差しを当てると、日本は「格差大国」といわれる
米国並みに高い。
貧困は、社会を揺るがす事件の背景にあるだけではない。
目を凝らせば、ひっそりと自ら命を断つ人の後ろにも横たわる。
警察庁によると、昨年は三万四千人が自殺し、十年続けて3万人を超えた。
多いのは病苦のためだが、借金や倒産、失業など「経済問題」が目立つ。
五木寛之さんが「心の内戦」と書いたのが十年前。それからさらに状況は悪くなっている。
日本はなぜここまで荒れてしまったのだろう。それは「強い者勝ち」という市場原理が
独り歩きした結果、多くの人が「負け組」となり、しかも「それは本人の責任」と思わせる
風潮があったからではないか。しかしすべてを個人のせいにしたのでは、政治の存在意義はなくなる。
普通に働いて普通に暮らせる。失敗しても死ぬほどには思い詰めなくて済む。
最低限そうした生活を国民に保障することが、今の政治に早急に求められているのではないか。
目指すべきは、希望の見える「平和国家」である。
中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200808040094.html ▽関連スレ
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