【産經の主張】 WTO新多角的貿易交渉決裂 早期再開に知恵をしぼれ 日本は2国間FTAでも競争に遅れてはならない

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1ランボルギーニちゃんφ ★

★【主張】WTO交渉決裂 早期再開に知恵をしぼれ

 貿易拡大のための新たなルール作りを目指した世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉
(ドーハ・ラウンド)の閣僚交渉が決裂した。

 ただでさえ、先行き不安が強まっている世界経済、市場への心理的打撃が懸念される。

 だが、各国は甘利明経済産業相が述べているように、これで終わりとせず、
交渉の早期再開に知恵をしぼるべきだ。日本はまた、WTOの多国間交渉の挫折により]
今後増えそうな2国間の自由貿易協定づくりでも競争に後れを取ってはならない。

 21日からジュネーブで始まった閣僚交渉は、5日目に、まとめ役のラミーWTO事務局長が
個々の関税削減率など具体的数字を入れた最終的な調停案を提示、一時は合意寸前にまで行った。
 しかし、途上国に認められる農産物の輸入セーフガード(緊急時の輸入制限措置)をめぐり、
インドが途上国を代表する形で発動条件のさらなる緩和を求めたため、米国が反発、激しく対立した。
さらには、中国がインドの側に立ったため、対立が深刻化、ついには決裂に至ったという。
決裂を招いたこれら諸国の責任は重い。
 ドーハ・ラウンドは、中国のWTO加盟が承認された2001年11月のドーハ(カタールの首都)での
WTO閣僚会議で開始が決まった。以来7年、農産品、鉱工業品、サービスなど幅広い分野で、
新しい貿易ルール作りの交渉が続けられてきた。
 貿易拡大のためには、関税引き下げなど自由化が不可欠だが、農業分野では輸出国と輸入国、
工業品では先進国と途上国の対立が続いた。いずれも自国の産業は保護・育成したいが、
輸出も拡大したいと望むためである。
 日本は工業品の輸出を中心に全体では大きな恩恵を受けるが、農産品の輸入では困難な事態に直面した。
75%以上の高関税をかけている農産品(日本は全品目の10%強)は7割もの関税削減を義務づけられ、
例外扱いができる「重要品目」も日本が主張した品目数の半分(全農産品の原則4%、最大6%)に
なるところだった。
 交渉決裂で、若干の時間的余裕も生まれようが、国内の農業改革はもはや待ったなしだ。
 また、今回の交渉でインド、中国など新興経済国の主張が一段と強くなった。
国際経済交渉の図式変化にも備える必要がある。

産經新聞 http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080731/fnc0807310236000-n1.htm