★厚生年金不正:事実と違う手続き…社保庁、社長に認める
厚生年金保険料の不正処理を巡り、東京都内の会社社長が「社会保険事務所に指示され、
標準報酬月額(給与水準)を改ざんした書類に押印した」と証言している問題で、
社会保険庁の担当者が6月下旬、この社長に面会し、社保事務所の当時の職員が
書類を作成したことを認めたうえで「事実と違う手続きだった」と説明していたことが分かった。
保険料の算定基準となる標準報酬月額の改ざんを巡っては、保険料の徴収率を高めたい
社保庁側の関与が指摘されていた。
この社長は千代田区の設計コンサルタント会社の相馬稔さん(52)。
相馬さんは95年、会社が払う社員の保険料2カ月分を滞納。
麹町社保事務所に相談したところ、当時の係長から「一括で払えないなら厚生年金から脱退して」と促された。
数日後に脱退を伝えると、滞納分の処理について社長自身の93万円の給与を
1年4カ月さかのぼり、11万円にする虚偽の書類を提示され押印した。
この改ざんで計約230万円の年金が圧縮され、滞納分が相殺されたという。
毎日新聞が入手したやりとりの記録によると、6月25日、相馬さんの会社を社保庁医療保険課の
職員が「実態調査」として訪れ、問題の書類について「当時の職員が自分の筆跡と認めている」と説明。
そのうえで「事実と異なる届けと考えざるを得ない」と語った。
当時、全社員が厚生年金を脱退したことを示す「資格喪失確認通知書」も作成されていたが、
社保庁側はこの書類も同じ職員の筆跡だったことを認めた。
社保庁側は一連の事務処理について「間違った指示だった可能性がある」と説明した。
相馬さんとのやり取りについて篠原千代三社会保険庁適用・徴収対策室長補佐は
「調査中であり、詳細は答えられない」と話している。
毎日新聞
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080715k0000m040151000c.html