★国交省・公用車の外部委託、出先機関の一般入札1割未満
国土交通省の公用車の運転・管理業務が天下り先3社に独占的に発注されている問題で、
本省は遅くとも2002年度以降、一般競争入札による発注に切り替えたにもかかわらず、
192か所の出先機関の大半は随意契約や指名競争入札を続け、今年度までに一般入札を
導入したのは17機関にとどまることがわかった。
この問題では国会で官製談合を疑う指摘もあり、公正取引委員会は国交省から調査結果の
提出を受け、独占禁止法に抵触する可能性もあるとみて調査している。
国交省によると、公用車はかつて専門職員が運転・管理を担当していたが、行政改革の
流れで1983年に専門職員の採用が原則中止になり、外部に委託するようになった。
公用車業務のような「役務」は会計法施行令で予定価格100万円以下は随意契約、
200万円以下は指名競争入札による発注が認められているが、200万円を超える場合は
一般入札が原則。しかし、当初は日本道路興運(日本道路)、日本総合サービス(日本総合)、
北協連絡車管理(北協)の有力天下り先3社が随意契約で受注をほぼ独占していた。
十数年前からは新規参入が増えたが、5000万円以上の随意契約を結んだり、
予定価格が7000万円を超える業務が指名入札で発注されるケースも多数あった。
北海道開発局管内は03〜08年度発注の計303件のうち89%以上を北協が受注、
北海道以外では同じ期間の計664件のうち日本道路と日本総合だけが指名された
入札が271件を占め、3社に発注が集中する状態が続いていた。
国交省では02年度までに公用車業務を一般競争入札に切り替えたが、現場の国道事務所や
河川国道事務所などで一般入札の導入が始まったのは06年度。今年度までの導入は
17機関で、うち11機関は国会で問題が追及された今年2月以降の駆け込みだった。
指名入札や随意契約を続ける理由を、現場事務所を所管する各地方整備局(地整)では
「災害時の緊急対応や迅速性が求められ、実績のある業者にしか任せられない」と説明してきたが、
元地整幹部は「一般入札は事務が煩雑になるし、積極的に導入する気になれなかった」と証言している。
この問題を受け、冬柴国交相は6月の記者会見で「(全庁的に)原則一般入札を導入する」と明言。
業務の特殊性の主張は事実上、撤回された。
公費の問題に詳しい五十嵐敬喜法政大教授(公共事業論)は「国交省は省庁再編で
地方の出先機関に権限と予算を分散し、本省のコントロールが利かなくなっている。
出先機関には監視の目も届きにくく、独立王国の状態になっている」と指摘している。
讀賣新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080715-OYT1T00039.htm