将棋のプロ棋士が盤面を見て考えるときに、後頭部にアマチュアより
脳が活発化する領域があることがわかった。理化学研究所が10日、
日本神経科学大会で発表した。
理研と日本将棋連盟、富士通が共同で進める棋士の直感の解明を目指す
プロジェクトの研究の成果。活発化した脳の一部分が大きくなるという仮説
「脳ダコ」にあたる可能性もあるという。
理研脳科学総合研究センターは、四〜七段のプロ棋士のグループと、
2組のアマチュアの計3グループを対象に脳の働きを調べた。実戦の局面と
でたらめに駒を並べた盤面を一瞬見せて、どちらか判別させる実験では、
プロ棋士は0.1秒見ただけでほとんど区別できたのに対して、アマチュアの
四、五段グループは0.5秒、初段では1秒必要だった。
さらに、盤面を次々に見せながら機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)装置で
脳を調べたところ、頭頂葉の背内側部と呼ばれる部分の2センチ立方ほどの
大きさの領域の働きが活発化していることがわかった。プロ棋士11人のうち
8人が活発化、高いレベルのアマチュアも難易度が低い局面では活発化していた。
研究チームは、活発化した領域が指のペンだこのようになる「脳ダコ」にあたるのか
の解明などを進めていく。(黒沢大陸)
朝日新聞 2008年7月10日
http://www.asahi.com/science/update/0710/TKY200807100362.html 図解(画像)
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