【栃木】「処分場建設で飲料水汚染などの人権侵害が起こる可能性がある」県弁護士会、産廃最終処理場建設へ中止勧告
★県弁護士会が中止勧告 将来の「人権侵害」を指摘
那須塩原市青木に都内の廃棄物処理業者が安定型産業廃棄物最終処分場を計画している問題で、地元住民らの
人権救済申し立てを受け、県弁護士会(高木光春会長)は十日、業者に処分場の建設を中止するよう勧告した
と発表した。同種処分場の建設差し止めを認めた判例を基に「処分場建設で飲料水汚染などの人権侵害が
起こる可能性がある」と判断した。
拘束力はないものの、産廃施設をめぐり同会が民間企業に勧告するのは初めて。また施設の計画段階で将来の
人権侵害の可能性を指摘するのは異例という。
申し立ては、地元住民らで組織する青木地区産業廃棄物対策委員会と那須地域環境対策連絡協議会の二団体が
行っていた。
勧告書では、処分場予定地から百メートル以内に那須疏水の幹線用水路があり、下流には浄水場などがある
ことから、「予定地の地下水が汚染されれば、下流域の住民の飲料水などが汚染される蓋然性が高い」と指摘した。
その上で業者側の対策に、有害物質の搬入や水源地への流出を確実に防止する客観的根拠が認められない
ことから、「差し止め請求が認容される程度に人権侵害のおそれが認められる」と判断した。
業者側は「処分場は準備段階で、将来の不確定なものへの不当介入だ」と主張しているという。
一方で同会は「住民が不安の中で生活を余儀なくされること自体が人権侵害。民間企業であっても、
中止を勧告せざるを得ない」としている。
下野新聞:7月11日 05:00
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20080711/23070