★自民公認調整大詰め 色濃く残る郵政解散の後遺症 悩み多き党執行部 (1/3ページ)
次期衆院選に向けた自民党の公認調整が大詰めを迎えている。
難航した郵政造反組と比例復活組の候補者調整は福岡11区を残すのみで、
党執行部は秋までに8選挙区あるコスタリカ方式の解消なども一気に進める構えだが、
1回生の小泉チルドレンを中心に不満はくすぶっており、完全決着への道のりは遠い。
「地方を回っていて予断を許さない深刻な状態が続いている。
任期満了までそう時間はない。これから選挙まで緊張感のある毎日が続くのだから、
体調を整え頑張る夏にしてほしい」
古賀誠選対委員長は10日、山梨県富士吉田市で開かれた古賀派研修会でこう激励を飛ばした。
古賀氏は7日、福岡市内での講演で、衆院解散時期を「年明けの通常国会冒頭に歳入歳出法案を提出し、
早ければそこで福田康夫首相にご決断いただく。成立させてからということであれば
3月末か4月に入ってからだ」と明言した。「来年9月の任期満了まで解散しないのでは」(自民若手)との
憶測が広がる中で党内の引き締めを狙ったようだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080711/stt0807110141000-n1.htm 福田政権の内閣支持率低迷もあり、各選挙区での自民党への風当たりは強い。
党執行部は「300選挙区すべてに勝てる候補を立てることが最低条件だ」とするが、
先の郵政解散で郵政造反組に大量の「刺客」を立てた後遺症は選挙区に色濃く残っている。
郵政造反組の方が地力に勝る議員が多いが、造反組を優遇すれば「古い自民党に逆戻りした」との
イメージが定着しかねない。とはいえ調整に失敗し、両者が出馬すれば共倒れとなり、
民主党の「漁夫の利」になりかねない。
山梨2区もそういう選挙区の一つだ。6月16日に郵政造反組の堀内光雄元総務会長の公認が決まったが、
公認を逃した長崎幸太郎氏は今も地元で「死んでも死にきれない。政治は過去を振り返るものではなく、
将来を創るものだ。山梨2区に骨を埋める」と書いたビラを配り続ける。
長崎氏は先の衆院選で堀内氏に敗れ比例復活したが、2年連続で党員獲得数1位となり
着々と支持基盤を固めてきた。支持者には「無所属でも出馬すべきだ」と主戦論が強く
「このまま党の決定に従い比例に回れば支持基盤を失う」との思いもあるようだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080711/stt0807110141000-n2.htm 北海道1区は新人、長谷川岳氏の公認が決まったが、小泉チルドレンの杉村太蔵氏は無所属での出馬を公言。
福岡11区でも郵政造反組の武田良太氏と比例復活組の山本幸三氏がつばぜり合いを続ける。
加えて、2人の候補が1つの選挙区で交互に出馬するコスタリカ方式の解消問題もある。
宮城2区など8選挙区で採用しており、党執行部はできるだけ解消する方針だが、
地元事情が複雑に絡むだけに調整は難航している。コスタリカ方式を2選挙区で採用している
福島県連は「責任は党本部にある」(佐藤憲保県連幹事長)と調整をさっさと「丸投げ」してしまった。
また前回衆院選で純粋比例で名簿登載1位という優遇措置を受けた猪口邦子元少子化担当相(東京ブロック)と
近藤三津枝氏(近畿ブロック)は「総裁枠」として次回も比例優遇されるとの見方が強い。
比例単独で当選し、選挙区を持たない一回生議員はほかに11人おり、「特別扱いはおかしい」(若手)との
不満はくすぶっている。
すべての議員が納得する選挙区調整は不可能だが、民主党の攻勢を前に、内紛を引きずったまま
衆院選を迎える余裕は今の自民党にない。秋に向けて党執行部がどう大ナタを振るうか注目される。
産經新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080711/stt0807110141000-n3.htm