【カイロ=田井中雅人】米軍の長期駐留に道を開くイラクと米国の安全保障協定をめぐる協議が難航する中、マリキ首相が
新たに米軍の撤退日程を設定するよう主張し始めた。「強気」の発言で、両国が期限とする今月末までの合意はさらに困難な情勢だ。
マリキ首相とブッシュ米大統領は昨年11月、国連安保理決議に代えて米軍の駐留継続に道を開く二国間協定を今年
7月末までにまとめることで合意した。米軍がイラク駐留の根拠とする国連決議の期限は今年末で切れるためだ。
しかし、米側が求めるイラク駐留米兵らの免責特権について「イラクの主権侵害だ。これまでも米兵らは罪のない
イラク人を殺しながら免責特権を盾に刑を免れてきた」などとイラク側が反発し、難航している。
さらにマリキ氏は7日、訪問先のアラブ首長国連邦(UAE)で「(米軍の)撤退か、あるいは撤退日程を設定する
覚書を設ける方向で米国と協議している」と述べた。マリキ氏が米軍撤退日程の設定要求を公言したのは初めてで、
「目的は(米軍)駐留の終了だ」と言い切った。
アルカイダやイスラム教シーア派民兵の掃討作戦を続けてきたマリキ氏は今月に入り、イラク全土で治安は改善
されたとして「勝利」宣言。イラク国内では、今秋予定の地方選挙での勝利に向けて「強い指導者」とのイメージを
売り込むため、「米国離れ」ともとれる発言をしているとの指摘がある。
一方、ブッシュ米政権はこれまで、米軍撤退日程の設定はイラクの武装勢力を利するとして反対してきた。
ロイター通信によると、ゲーツ米国防長官は8日、「イラク治安部隊がより強化されれば、将来にわたって(米軍の)
撤退が続けられるだろう」と語り、撤退日程の議論は時期尚早との考えを示した。ホワイトハウスのペリーノ大統領報道官も
9日、「我々は恣意(しい)的な撤退日程設定には常に反対してきた。決定は現地の状況次第」と強調している。
イラク人ジャーナリストのサラハ・ハメド氏は、(1)シーア派与党連合内の親イラン勢力が、米軍の駐留長期化に
つながる協定の拒否をマリキ氏に求めている(2)米大統領選で民主党のオバマ氏が就任後16カ月以内の駐留米軍撤退を
打ち出しており、米国の対イラク政策が大きく変わる可能性がある――と指摘。
「マリキ氏は米軍の支援をまだ必要としている。本気で撤退を求めているわけではないが、選挙前に国民受けの悪い
協定の締結を急ぐつもりもない。ブッシュ後をにらんだ時間稼ぎ」と分析している。
asahi.com
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