【ネット】カスペルスキー、セキュリティ業界の再編には「技術で対抗」[08/07/08]
ロシアに本拠を置くセキュリティベンダーのKaspersky Labが7月3日から4日にかけて、
サンクトペテルブルグにおいて「International Partner Conference」を開催した。
2000年に10カ国から19のパートナーが参加したこのカンファレンスは、2008年には
39カ国140パートナーを集めるにまで至った。
基調講演にはKaspersky Labの創業者の一人で、セキュリティ研究者でもあるCEOの
Eugene Kaspersky氏が登壇。同社の事業展開やセキュリティ業界、脅威の動向について、
今後10年の見通しを示した。
カスペルスキー氏、ITセキュリティ業界を読み解く
Kaspersky氏はITセキュリティ業界について、個別の脅威に個別の製品が対応しているのが
現状だと指摘している。マルウェアに対してはアンチウイルス製品、迷惑メールにはアンチスパム、
不正アクセスについてファイアウォールなどで対応しているというのだ。
事実、企業買収という点では、1990年代はアンチウイルス企業が、2000年代は
アンチスパイウェア企業の買収が目立ったという。
では、次に求められるアプローチはどのようなものだろうか。
Kaspersky氏は「技術」によって異なるアプローチが可能だという。今後、Sandboxなどの仮想化技術、
ヒューリスティックなどのエミュレーション技術、コード実行の前後で悪意を検知するHIPS技術などが
求められるだろうと語っている。
こうしたアプローチの変化には、Kaspersky Labだけでなく業界もまた敏感に反応している。
2007年はDLP(Data Loss Prevention:情報漏えい対策)ベンダーの買収が相次いだ。
VontuはSymantecに、OnigmaはMcAfeeに、Provillaはトレンドマイクロに、TablusはEMCの
セキュリティ事業部門RSAにそれぞれ買収されている。いずれも非上場企業であり、
DLP技術・製品に特化した企業として業界ではよく知られた存在だった。
各社が動きを示している中で、Kaspersky Labはテクノロジーフォーカスをより強めていきたい考えだ。
>>2へ続く
読売新聞 2008年07月10日
http://www.yomiuri.co.jp/net/cnet/20080710nt09.htm
>>1の続き
◆セキュアOSが盛り上がらない理由
「WindowsやMac OS、Linux/UNIXなどのモダンなOSは、柔軟ではあるがセキュアではない」と、
Kaspersky氏はOSの現状を説明する。「なぜならば、顧客はOSにセキュリティよりも柔軟さを
求めているからだ」という。
その一方でセキュアなOSや環境も存在する。その一例として挙げられたのが
携帯電話向けのアプリケーション実行環境「BREW」だ。しかし、Kaspersky氏は
「BREWがセキュアなプラットフォームであることを、何人の人が知っているだろうか?」と問いかける。
そのため、「セキュアOSは今後10年、盛り上がる見込みはないだろう」と結論づけた。
Kaspersky氏はまた、BREWのようなセキュアな環境があってもなお、モバイルには危険が
つきまとうとも指摘している。モバイル環境向けの新たなサービスが続々と登場することで、
これまで以上に携帯電話を利用した金銭のやり取りが発生するからだ。そのため、今後10年の
モバイル環境はPCと同等の深刻なマルウェア被害が予想されると警告している。
>>3以降へと続く
>>2の続き
◆欧州市場に強みを持つカスペルスキー
続いて登壇したのは、Kaspersky Labで最高執行責任者(COO)を務めるEugene Buyakin氏だ。
「Riding the Tornado. How to Manage (Crazy) Growth?」と題した講演で、同社の急成長と
それを持続させるための施策を発表した。
Buyakin氏によれば、Kaspersky Labが10万ユーザーを獲得するのに要した期間について、
2006年6月は80日をかけていたが、2008年6月は80時間でこれを達成している計算になるという。
こうした急成長が演題に「Crazy Growth」を掲げるゆえんだ。
2007年度の同社決算によると、地域ごとの売上では欧州が48%と最も多く、
次いで東欧・中東・アフリカ地域(EEMEA)の25%、北米と南米を含むアメリカ地域が19%、
日本をのぞくアジア太平洋地域の8%と続く。
同社は6月10日、イタリアのローマにローカルオフィスを設置。続く12日にもスペインとポルトガルを
ターゲットに据えたローカルオフィスをマドリードに設立している。強みを持つ欧州市場を、
まずは押さえてしまいたい考えだ。
同じく2007年度の売上種目別では、コンシューマ向け製品が55%で最多。
次いで企業向けの33%、技術提供の12%と続いている。
こうしてデータで見ると、同社の今後の課題が見えてくる。1つ目が急成長を支える人員の増強であり、
2つ目が売上種目のバランスだ。
人員増強については現在も最も注力している分野であることが、Buyakin氏の講演からうかがえた。
2008年度は、地域事業部門の人員、マーケティング、企業向けビジネスの人員などの人員を
1.5倍程度増やす。特に研究開発を担うR&Dチームは、ほぼ倍増とも言える人員増を目指すという。
売上種目のバランスという点では、2010年までに企業向けビジネスをコンシューマビジネスと
同程度まで成長させたい考えだ。特に強みを持つ欧州市場を皮切りに、苦戦が続く北米の企業向け
市場においてはSMBに注力する。
ロシアを代表するIT企業のKaspersky Labが個人向けや企業向けといった区別なくグローバルで
認知されるに至るか否かは、今後数年内に決まると言っても過言ではないだろう。(ZDNet Japan)
終わり
スレタイ訂正です。
日付間違えました。 m(_ _)m
×【ネット】カスペルスキー、セキュリティ業界の再編には「技術で対抗」[08/07/08]
○【ネット】カスペルスキー、セキュリティ業界の再編には「技術で対抗」[08/07/10]