町田市が05年に神奈川県相模原市の不動産業者に売却した
旧「忠生図師緑地保全の森」(町田市忠生)を巡り、周辺住民が売却の違法性を訴えている
住民訴訟の中で山林部分の不動産価値を鑑定し直したところ、売却額の3倍に当たる
1億9600万円の価値があることが分かった。
住民側は「森は不当に安い値段で売却され、市民に損害を与えたことが裏付けられた」と
主張している。
町田市によると、保全の森は約4400平方メートルの平地と約1万7100平方メートルの山林から成る。
市は02年3月に環境保全の目的で財団法人都新都市建設公社から平地と山林を合わせ約3億8300万円で
購入した。しかし、05年5月に市中心部の都市計画道路用地を買収する際、相模原市の業者から代替地の
提供を求められ、保全の森全体を約3億9500万円で売却した。内訳は平地部分が約3億3000万円、
山林部分が約6500万円だった。
業者は森を宅地開発する計画で、保全を求める周辺住民が05年、「売却は無効だ」として、
東京地裁に住民訴訟を起こしている。
今回の鑑定は、住民側の求めに応じて地裁が選任した都内の不動産鑑定事務所が今年5月に実施。
住民側が「売却額が安すぎる」と訴えている山林部分についてのみ04年当時の価値を評価したところ、
売却価格の3倍に当たる1億9600万円の価値があると鑑定された。
市によると、05年の売却時の鑑定は2カ所の不動産鑑定事務所が担当し、両事務所の評価額の平均を
売却額にした。市側は「鑑定は正当な方法で実施され、価格も正当に決められた。
係争中であるので裁判の行方を見守りたい」と話している。【堀智行】
毎日新聞 2008年7月5日 地方版
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20080705ddlk13040330000c.html