>>1の続き
こうした現状を打破しようとの思いが、前知事の安藤忠恕(ただひろ)被告(67)=事前収賄罪などで
公判中=に向いた。03年7月の知事選前後には前知事側からの求めに応じ、総額3700万円の現金を
提供。元社長は機会あるごとに入札での便宜を前知事らに求めた。
それでも受注は伸びなかった。03年度は18件の指名を受けながら、受注はゼロ。04年度は
18件の指名で3件の落札にとどまった。
受注量が増えない不満は、元社長自身が贈賄罪に問われた、前知事の政治指南役だった
元国会議員秘書(70)への現金振り込みにも現れた、と検察側は指摘。03年10月下旬から
始まった振り込みは70万円超の金額から、04年12月には9万円に減額。
05年5月には振り込み自体が止まった。
その後、元社長の要求は具体的な受注総額にまで至り、05年5、6月には前知事から前出納長に
「元社長が『8千万円分くらいの仕事が欲しい』と言うちょる。何とかしてくれんか」と伝えられた。
この指示は県庁内に伝わり、起訴されている05年10月〜06年7月の計3件の官製談合につながった、
と検察側は事件の構図を示した。
3件の落札額の合計は3370万円。検察側は論告で、談合がなければ465万〜856万円は
浮いたとの試算を示し、「県財政に与えた損失は多額」と指摘。前知事とのつながりを誇示して
営業していた元社長の姿を「虎の威を借る狐(きつね)」と例えた。
次回9月3日に最終弁論が行われる予定。弁護側は談合の事実は認めながらも、
「官製談合までは求めていない」との立場を強調。
贈賄については「請託がなく、振り込んだ現金もわいろには当たらない」と無罪を主張する方針だ。
終わり