原料高騰の逆風にさらされ、宇都宮名物「ギョーザ」の値上げが相次いでいる。人気店「宇都宮みんみん」が
2日、11年ぶりの値上げに16日から踏み切る方針を明らかにした。
多くが物価次第で再値上げもあり得ると口をそろえ、うたい文句である「安くておいしい」とのせめぎ合い
に悩んでいる。
宇都宮市馬場通り4丁目の宇都宮みんみん本店。2日、午前11時半の開店と同時に店員たちが壁やカウンター
に値上げを伝える掲示をした。今月16日から、これまで220円だった焼きギョーザと揚げギョーザの値段
をそれぞれ20円引き上げる。値上げは消費税率が5%になった97年以来だ。
伊藤信夫社長(74)は「色々と無駄を省いてきたが、限界だった」と悔しがる。
大きなきっかけになったのは、小麦粉とごま油の高騰だ。小麦粉はこの1年間で1.2倍、ごま油は1.5倍
になった。みんみんは全10店舗で年間、小麦粉を175トン、ごま油を40トン以上消費する。
「いままで値段が安定していたものが急騰しているため、先の予想ができない。だからといって、材料の質も
落とせない」。伊藤社長はこぼす。
宇都宮近郊の業者組合「宇都宮餃子(ギョーザ)会」が運営する集合店舗「来らっせ」に出店する27店の
うち、20店がすでに1人前20〜40円の値上げを実施、またはその予定だ。
みんみんと人気を二分する「正嗣」も4月に170円だった焼きギョーザと水ギョーザの値段をそれぞれ
210円に上げた。
みんみんでは、近年の輸送費上昇などの状況から「国産食材の方が価格変動リスクが少ない」とみて、海外産
も使っていた白菜やニンニクを国産に切り替えてきた。ただ、小麦やゴマは国内自給率が低く、輸入品に頼ら
ざるを得ない。農水省によると、小麦の卸値は10月に再び上昇する見通しだ。ゴマの主要輸入先である
ミャンマーも、5月のサイクロン被害で安定量の確保が難しくなっている。
だが、今回は消費者側にも、一定の値上げへのあきらめムードはあるようだ。みんみんに週に5日通うという
常連客の福田秀康さん(58)は「ようやく値上げしたか、と言う感じ。よく持ちこたえたと思う」と
話していた。
朝日新聞:2008年7月3日11時59分
http://www.asahi.com/business/update/0703/TKY200807030033.html