深刻な水不足に苦しむ西アフリカ・マリ共和国に井戸を贈ろうと、NPO法人
(特定非営利活動法人)の「不要入れ歯回収サービスセンター」(大阪市中央区)は、
商店街や福祉施設などに入れ歯の回収ボックスを設置する活動を始めた。
同センターでは「マリでは、水くみは子供の仕事で、1日の大半の時間を費やしている
ため、学校にも行くことができない。入れ歯を集めて井戸を掘ることで1人でも多くの
子供を救いたい」と話している。
同センターは今年2月、「アフリカの子供たちに安全な水を」と、大阪在住の50〜60代
の女性7人が設立。通常、使われなくなった入れ歯は捨てられることが多いことから、
これをリサイクルすることで手押しポンプ式井戸の購入費にあてる活動をスタートさせた。
入れ歯には、歯にかぶせた金属や歯と歯をつなぐ金属製バネなどに金、銀、パラジウム
などの貴金属が含まれている。これを換金すると、入れ歯1個当たり2500円ぐらいの
価値がある。まとめて貴金属精製事業者に持ち込むことでコストを抑え、収益を出すこと
にしている。
当初は、熱湯消毒された入れ歯を郵送で受け付けていたが、回収率を上げるため3月
から社会福祉協議会や歯科医院などに「回収ボックス」を置いてもらうよう交渉。
現在、粉浜商店街(大阪市住之江区)や天神橋七丁目商店街(同北区)など16カ所に
設置されている。
同センターによると、手押しポンプ式井戸を1基設置するのに約123万円が必要で、
当面500個を目標にしている。
理事長の酒井悦子さん(57)は「国土の65%が砂漠のマリにとって、水はのどの渇きを
いやすだけでなく、生活を潤わす一番大切なもの。井戸を掘ることで水くみをする子供
たちの環境を変えてあげたい。いらなくなった入れ歯、歯のかぶせ、詰め物がありましたら
ぜひ送ってください」と話している。
産経:
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080625/trd0806250032000-n1.htm