補助金の不正受給や制度融資による購入物件の目的外利用など、社団法人横浜市病院協会とその関係者をめぐる
問題が次々と判明している。補助や融資を実施する市は、不正行為の“被害者”として協会を追及するが、
税金の使途のチェックを怠ってきた自らの責任も問われている。 (中山高志)
「横浜市港北区鳥山町626−●●●」。二〇〇六年三月に「神奈川健康福祉経営協同組合(健福協)」が市から
受けた医薬品販売業許可証に記された店舗所在地だ。
この住所は、「新横浜母と子の病院」(横浜市港北区)の理事長が、一九九三年に市から無利子融資を受け、
病院職員の宿舎として購入したマンションの部屋と同一だった。
最近になって、この部屋が健福協のために転用され、健福協は医薬品販売許可を受けた際、堂々と所在地として届け出ていたことが判明。
十六日の市議会常任委員会で「なぜ許可の際に見抜けなかったのか」と問われた市幹部は「ご指摘の通り」とうなだれた。
また、問題となっている部屋は、理事長自身が当時社長を務めていた会社から、理事長個人に売却されたもので、
売買成立後も所有権の移転登記がなされていなかった。しかし、市はこうした不審点をこれまで把握さえしていなかった。
理事長は、健福協の代表理事を兼務しているほか、病院協会の会計担当理事も務めており、協会の補助金不正受給問題でも責任ある立場にいる。
この問題では、病院協会がシステム更新費などの名目で業者に払った金額を水増し報告する手口で、市に補助金を過大請求。
市は補助金受給者に対し、業者などへの支出を裏付ける領収書の提出を義務付けておらず、不正を見逃す一因となっていた。
中田宏市長も記者会見で「領収書の話は初めて知った。『何で(添付の義務付けがないのか)?』と思う」と述べ、
制度上の不備を認めている。
病院協会の問題を追及している若手市議は「協会の会計担当理事は在任期間が長く、市の融資制度などにも精通していた。
このため、市の担当者はものが言えなかったのでは」と指摘。「市が自ら支出をチェックする体制を構築できなかったことは問題だ」と話している。
そーす:東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20080622/CK2008062202000111.html