【バンコク=菅沢崇】アフガニスタン南部のカンダハル近郊で15日夜、イス
ラム原理主義勢力タリバンの戦闘員が、複数の集落を占拠した。同国政府軍をは
じめ北大西洋条約機構(NATO)軍が周辺を包囲しているが、先に発生したカ
ンダハルの刑務所襲撃に続き、タリバンの攻勢による緊張が高まっている。
AP通信によると、占拠されたのは、カンダハル北東のアルガンダブ地区の数
カ所の村で、タリバン約500人が襲撃した。集落の居住者はほとんどが避難し
たとみられるが、アルガンダブ地区の政府職員によると、同地区西部はほぼ全域
がタリバンに占拠され、戦闘員が豊富な果樹の陰に身を潜めている。地雷も埋設
したとしているという。
カンダハルでは13日夜、タリバン勢力による約30分間にわたる急襲の末、
タリバン390人を含む受刑者870人以上が脱走。集落の占拠が脱獄と関連し
ているかどうかは現在判明していないが、改めて一向に回復しない同国の治安の
現状を見せつけた。
カルザイ大統領は刑務所襲撃事件の翌日、隣国のパキスタンから流入するタリ
バンに対し、パキスタン側の対応が十分でないとして「国境を越えて軍によって
制圧を図ることも辞さない」と述べ、限界にきている不満を表明。大統領支持派
が多数を占めるアフガニスタン東部の一部地域では、大統領発言を支持してパキ
スタン政府への抗議デモも起き始めている。
駐留米軍などの混成部隊は15日までの2日間で南部のへルマンド、ザブール
両州でタリバン兵35人を掃討するなど、作戦を強化しているが、政府は南部と
東部の多くで治安を掌握できていない。こうしたなか、パリで12日から行われ
たアフガニスタン支援会議では、各国から支援表明の継続が相次いだが、これま
での拠出の実態は、表明額の6割程度にとどまっており、同国の復興は容易では
ないことを印象づけている。
ソース▽
MSN産経ニュース(2008.6.17 10:50)
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/080617/asi0806171050002-n1.htm