★「甲州きいろ香」の富永敬俊博士が死去
シャトー・メルシャンの「甲州きいろ香」で甲州ワインの可能性を切り開いた
ボルドー第二大学醸造学部の研究員である富永敬俊(とみなが・たかとし)博士が、
8日深夜(現地時間)、ボルドー市内で心筋梗塞のため亡くなった。
富永氏は東京都出身。1955年生まれの53歳。90年にフランスに渡り、
白ワイン醸造の権威として知られるボルドー第二大学醸造学部の
ドゥニ・デュブルデュー教授に師事した。98年に日本人として初めて
博士号(自然科学・醸造学)を取得。2001年からフランス国立農業研究所と
ボルドー第二大学醸造学部のリサーチ・エンジニアを務めている。
デュブルデュー教授の研究室で、白ワイン品種の醸造や香りなどについて研究し、
学生の指導に当たっていた。
シャトー・メルシャンと共同で研究・開発した「甲州きいろ香」はその成果の1つ。
甲州ブドウに柑橘系の香りの素になる「アロマプレカーサー」という成分があることに気づき、
その香りが最大になる時期にブドウを収穫し、醸造した。その結果、アロマティックな
新タイプの甲州ワイン「甲州きいろ香」が生まれ、2004年ヴィンテージを05年春にデビューさせた。
「きいろ香」の名前は、富永氏がボルドー大学の研究室で可愛がっていた愛鳥の名に由来する。
著書に「アロマパレットで遊ぶ―ワインの香りの七原色」
「きいろの香り ボルドーワインの研究生活と小鳥たち」がある。
富永氏は今年4月、「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香 2007」の発売に際して来日し、
セミナーや試飲会を開いたばかりだった。8日夜に自宅で突然、具合が悪くなり、
病院に運ばれて亡くなった。
葬儀は13日午前10時からボルドーのメリニャック葬儀場で行われる。喪主は妻の良子さん。
讀賣新聞
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/drink/wnews/20080610gr02.htm