★「三重」「四重」派遣もざら…業界覆う低い順法意識
グッドウィル(GW)の二重派遣が表面化した背景には、
“拡大一辺倒”だった企業姿勢のひずみも浮かび上がる。
ただ、日雇い派遣の業界では、3重、4重派遣も横行しているといわれ、
業界全体を覆う“遵法意識”の低さを指摘する声もある。
「支店長の口癖は『何でもいいから仕事を取ってこい』だった」。
元GW社員は3年ほど前の支店内の様子を振り返る。
30代の支店長は、派遣業務の知識がほとんどなかったという。
「港湾業務への労働者派遣が違法だということも知らなかった。
大丈夫なのかなと思った」と明かす。
GWに登録していた女性(45)も“いい加減さ”を感じていた。
GWの派遣労働者は派遣先に「就業確認票」を持参し、就業時間や勤務態度を
記入してもらう仕組みになっている。記入内容は賃金に跳ね返るが、
「派遣先ではなく、同僚である派遣労働者が記入していたことがあった。
理由を問いただしても明確な返答はなかった」と憤慨する。
GWは積極的な買収などにより、急速に店舗を拡大させた。
関係者によると、東和リースも、かつてGWが買収した人材派遣会社の顧客で、
そのまま派遣先として引き継がれたという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080604/crm0806040047001-n1.htm GWの店舗は、平成13年の153店から19年6月末には1251店まで急増。
関係者によると、急激な拡大路線により、現場は人材不足に陥り、支店長は
20〜30代ばかりになったという。就職して1カ月で支店長になるケースもあった。
「何が何でも売り上げを伸ばせ、という会社の体質がコンプライアンスの軽視につながり、
港湾派遣、二重派遣を生んだ」とグッドウィルユニオンの関根秀一郎書記長は厳しく指摘する。
ただ「低い遵法意識は業界全体の問題」という声もある。
龍谷大学の脇田滋教授(労働法)によると、IT業界などでは3重、4重派遣もざらだという。
「中間マージンを取られまくって、労働者の懐に入るのは、派遣先が払った額の
何分の一にもなってしまうこともある」。
脇田教授は警視庁が二重派遣にメスを入れたことを評価したうえで、
「今回は厚生労働省が刑事告発したところから捜査が始まった。
悪質な場合、行政がもっと積極的に告発してもよいのではないか」と訴えている。
■二重派遣
派遣労働者を受け入れた企業が、別の企業に労働者を派遣し、その会社の指揮下で働かせる行為。
請負契約などを装うケースが多い。雇用責任があいまいになるほか、間に入った企業の手数料が
増えるなど問題点が多いが、派遣業界内に横行しているとされる。
送り出し側も受け入れ側も職業安定法違反罪に問われる。
産經新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080604/crm0806040047001-n2.htm