在宅介護を支える柱となる、訪問介護サービスの事業所が減っている。いまの介護保険制度
では採算を確保しにくいことから、事業所の縮小や廃業が進んでいるとみられる。
介護事業所や福祉施設の人手不足は、慢性化している。介護労働者の離職が止まらないから
だ。仕事の大変さに比べて、賃金が低く、やりがいを見出しにくい。
介護保険で事業者に支払われる報酬は、膨らむ給付費を抑えるため、これまで2回、引き下げ
られた。その結果、高齢化で介護を必要とする人は増えているのに、支える人材は流出し、事業者
が撤退していく。これでは制度の基盤が崩れてしまう。
2009年度に3回目の報酬改定が予定されている。高齢社会を支える人材を、劣悪な労働環境に
押し込めていては、制度の健全な運営は望めない。サービスの質を確保するためにも、国は介護職
の待遇改善に向けて、報酬の在り方を見直すべきだ。
国は06年度の報酬改定で、要介護度の軽い人に対して、訪問介護のうち料理や掃除などの「生活
援助」サービスの利用を制限した。この影響に加えて、人手不足などによる経営難が、働く人の状況
を厳しくしている。
長野県内のある訪問介護事業所は、男性ホームヘルパーの結婚退職が相次いでいる。家族を養え
るだけの収入がないため、見切りをつけざるを得ないという。
厚生労働省の06年の調査では、男性ヘルパーの平均賃金は月23万600円。福祉施設の介護員は、
さらに低い。全産業の37万2000円と大きな開きがある。介護労働者は非正規雇用が少なくない。離職率
が高いのも特徴だ。
この夏にはインドネシアから、看護師の介護施設などへの受け入れが始まる。低賃金・重労働の現場を、
外国人労働者に下支えさせることにもなりかねない。
今の国会で「介護従事者処遇改善法」が全会一致で成立した。中身は、来年4月までに「賃金をはじめとする
処遇の改善」の必要があると認めるときは「必要な措置を講ずる」との1条だけ。具体策を早急に詰めなくてはいけない。
舛添要一厚労相も「プロであるべき介護士の処遇が良くないのは問題だ」と発言、報酬の引き上げを目指す考えだ。
そうあるべきだ。ただ、その際、増えた分の報酬が労働者の人件費にどう配分され、一定の給与水準を確保できるか、
がカギになる。知恵を絞ってもらいたい。
ソース 信濃毎日新聞 信濃web
ttp://www.shinmai.co.jp/news/20080602/KT080530ETI090017000022.htm 依頼ありました
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