★在外被爆者の来日要件撤廃 手帳取得、与党と民主合意 '08/5/29
自民、公明、民主の三党は二十八日の実務者協議で、海外に住む被爆者が来日せずに
被爆者健康手帳の取得を申請できるようにするため、被爆者援護法の改正案を共同提出し、
今国会で成立を目指すことで合意した。
在外被爆者への対応を法律上初めて明記し、医療費助成や原爆症認定についても、
国が必要な対策を取るよう求める。
厚生労働省によると、同法改正が実現すれば、1995年の施行以来初めて。
国内の被爆者に比べ大幅に遅れていた在外被爆者の援護行政が前進しそうだ。
協議後、国会内で会見した自民党プロジェクトチーム座長の河村建夫元文部科学相は
「遠くはブラジルから米国、韓国まで、さまざまな国の被爆者から要請が来ており、
早急に改正法案を成立させたい」と述べた。
改正案は、在外被爆者について、被爆当時に住んでいた広島か長崎の知事、市長に
被爆者健康手帳の取得を申請できると明記。現在は年間14万5000円に上限が
決まっている医療費の助成や、海外での申請が認められていない原爆症認定についても、
国が必要な措置を講ずるよう定めている。
現行法では、被爆者健康手帳について「居住地または現在地の都道府県知事が交付する」と規定。
このため在外被爆者は高齢や病身を押して来日し、滞在先の自治体に申請する必要がある。
改正案では、このような不自由さを解消するため海外からの申請を認め、
原爆症認定も在外公館での申請が可能となるよう政令で定めることを想定している。
在外被爆者をめぐっては、出国を理由に健康管理手当の支給を打ち切られたケースなどで
国の敗訴が相次いだ。また最高裁では2007年11月、手当支給を認めなかった
通達の違法性を認め、国に賠償を命じる初の司法判断が確定している。
中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200805290086.html