★ホッキョクグマ絶滅危惧種に正式指定 温暖化の影響、北極海の氷溶け
米政府は14日、ホッキョクグマを絶滅危惧種に正式に指定した。
主要な生息場所である北極海の海氷が気温上昇で溶解し、絶滅の危険が生じていると判断した。
米国で地球温暖化が絶滅危惧種指定の要因となるのは初めて。
ただし、ホッキョクグマの保護が温暖化対策として利用されることには警戒感も示した。
ケンプソーン内務長官は記者会見で「絶滅危惧種に指定したところで、
地球温暖化や海氷の溶解を止めることにはならない」と述べたうえで、
指定が温室効果ガスの規制など「温暖化対策立案に悪用されてはならない」とも強調した。
生息場所のアラスカ州で原油や天然ガスなどの採掘に意欲を見せるエネルギー業界などに配慮したとみられる。
絶滅危惧種法上の指定は2006年末、内務省魚類・野生生物局が提案。
1年間、科学データを精査して判断するとした。昨年8月には同省の科学者チームが
北極圏のホッキョクグマの3分の2が2050年までに死滅すると予測。
しかし、内務省は今年1月を過ぎても判断を先送り。連邦裁判所が命じた期限の1日前に指定を発表した。
北極海の氷は、ホッキョクグマがエサのアザラシを取ったり、子育てしたりする場所で、
夏場に解けてしまうと、陸にあがったクマの体重は減り、子グマの生存率も低下するなど、
生息を大きく脅かす。
内務省によると、1979年から2007年までの海氷の変化を衛星観測した結果、
溶解の進行で海氷は昨年秋に最低水準となり、将来予測では今世紀半ばに30%、
今世紀末までに最悪97%が失われるとしている。
毎日新聞
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080515/acd0805150916005-n1.htm