「お年寄りや弱者に笑いで元気を出してもらおう」−。
ともにホームヘルパー二級の資格を持ち、「介護ネタ」を得意とする
一風変わった若手お笑い芸人コンビがいる。デビューして一年半。
まだまだ無名だが、アルバイトをしながら、都内でライブ活動や
福祉施設などの慰問公演を続けている。
おじいちゃんが路上で「困ったのう、困ったのう」とつぶやいている。
若い男が「どうしたの?」と声を掛けると「道に迷ったみたいなんじゃ」。
「案内しますよ。どこ行くの?」「真っすぐ行って、右に曲がった所の
スタバ(スターバックス)まで」。若い男は「分かってんなら、自分で行け!」(笑)
千葉県在住の黒沢正徳さん(25)と、中村秀雄さん(23)が演じるコント。
一見、毒があるようで、実際には困っているお年寄りには声を掛けようというメッセージがこめられている。
マッサージ付きの車いすなどをネタにしたコントも。
二人の名前を合わせてコンビ名は「ひでのりん」。
「芸名の末尾に“ん”をつけると売れる」。そんな業界の縁起にもあやかった。
“つっこみ役”の中村さんは、中学、高校時代、理由もわからず
同級生からいじめを受けた。この時、不登校にならずに済むように
支えてくれたのが、子どものころから好きだったテレビの「お笑い番組」だった。
「笑いは嫌なことを忘れさせてくれる。自分と同じように
いじめに遭っている子を救いたい」。芸人への夢は高校時代から膨らんだ。
相方の黒沢さんとは六年ほど前、共通の友人を通して知り合った。
黒沢さんは、大学卒業後、いったんはユニクロに就職。
だが、やはり子どものころからの夢が捨てきれず、二〇〇六年四月、
中村さんとともに、萩本欽一さん、坂上二郎さんらが所属する
芸能プロダクション主催のお笑いセミナーを受講。
半年後、タレントマネジャーにスカウトされて、プロデビューした。
ソース
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008031290134904.html >>2に続きます
最初にヘルパー資格を取ったのは中村さん。高校卒業後すぐ、
「手に資格があれば、困らないかも」という軽い気持ちからだった。
しかし、いじめられた体験が、「弱者のためになりたい」という思いを強くした。
黒沢さんも中村さんにつられるように「人の痛みが分かる芸人になりたい」と、
昨年取得。二人は資格取得を通じ、お年寄りや社会的弱者に
対する気持ちが深まったという。徘徊(はいかい)する認知症の
お年寄りなどをテーマにした「介護ネタ」は、資格取得の際の実習経験から生まれた。
「笑いの中にも、介護を必要とするお年寄りとどう接したらいいか、
伝えていければ」と二人は話している。
ひでのりんは、芸能事務所「山中企画」が東京都新宿区の
「ミニホール新宿Fu−」で開催しているライブなどに出演している。
(丹治早智子)
(東京新聞)
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http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008031290134904.html