人工透析などの際に血液が固まるのを防ぐために使われる「ヘパリンナトリウム製剤」について、
厚生労働省は10日、国内の製薬3社が17製品を自主回収すると発表した。
米国のバクスター社が製造販売した同製剤で、
死者21人を含む副作用被害が相次いで確認されたことを受けた措置。
3社が製造販売する製剤は、バクスター社と同様に中国産の原材料を使い、
米国SPL社が加工した原薬を輸入して製造されていた。
厚労省によると、自主回収されるのは、
扶桑薬品工業(大阪市)、テルモ(東京都渋谷区)、大塚製薬工場(徳島県鳴門市)の3社の製剤。
いずれもSPL社製の原薬を使い、自社で注射液、透析用などの製剤に加工して販売している。
国内の透析患者約27万人の7〜8割はヘパリンナトリウム製剤を使用。
扶桑薬品工業と大塚製薬工場の製品だけで半分を占めているため、
自主回収による治療への影響が懸念される。
米国では昨年12月15日以降、
バクスター社製の製剤で448人のアレルギー反応などの副作用報告があり、うち21人が死亡した。
同社製は中国産の豚の腸を原材料にし、
SPL社と中国にある同社の関連会社が加工した原薬から作られていた。
米食品医薬品局(FDA)の調査で、
バクスター社の製剤に使われた原薬には異物の混入が確認されているが、
副作用との因果関係は不明で、原因は特定されていない。
国内3社は今月8日に自主回収を始めており、
今のところ、3社の製剤から異物は検出されていない。厚労省は、
「国内では同製剤による被害の報告や異物が検出された例はなく、自主回収は予防的措置」
としており、医療機関に対し、
他社製品で代替できない場合は、患者に了解を得たうえで使用を認めている。
ソース
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080310-OYT1T00573.htm?from=main1