和歌山県の旧美里町(現紀美野町)の元町長(60)が、町長時代にプールしていた町の
裏金の一部約850万円を使い国道から自宅に通じる近道を勝手に造っていたことが6日、
分かった。元町長は「自分専用道路ではない」と私的流用を否定している。しかし、
元町長の指示で支出されており、紀美野町では背任容疑などでの刑事告訴を検討している。
国道370号と町道を結ぶ長さ約30メートル、幅約2・5メートルの“私”道を、造ったのは
旧美里町の段木(だんき)晃元町長(60)。スポニチ本紙の取材に「道路は自分の土地に通した。
周辺の3世帯や宅配便業者も利用しており、みんなが便利になったねと喜んでいる」と話した。
元町長は「国道から左折して町道に入る時、何度も切り返さなければならず、後続車が来たり
するとかなり危険だった」と説明。整備費用約850万円は裏金から捻出し、昨年夏に完成したという。
「前任者から(裏金は)“表に出すな。町の利益のために使え”と言われた。利用する人がほかにも
いるので私的な流用ではない」と強調した。
町によると、元町長は町長就任時に前任者から約2億円の裏金を引き継いだという。旧美里町では
裏金を地元銀行にプール、当時の収入役が通帳を管理していた。別の口座にもプールされており、
02年1月から、町長を務めていた05年12月までの総支出額は約2億8290万円にも上るという。
通帳や帳簿、領収書は06年1月の旧野上町との合併直前に元町長の指示で焼却処分。
口座はその際に解約したとみられる。当時の残高は明らかにされていないが、その中から
850万円を捻出したとみられる。元町長の自宅金庫には現在、約690万円の残金が保管してある。
「(裏金は)民間からの寄付。ほかにも町議会の承認を得ていない用地買収や、県職員の接待にも使った」
と話し、残金は町に返還する考えだという。
段木元町長は99年5月に初当選。合併翌月の06年2月の町長選に出馬したが、落選した。
ある町役場職員は「合併後、初めての監査で裏金の存在が明らかになった。合併したのが
運の尽きだったのかも…」と話した。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2008/03/07/01.html