大豆など原材料費の高騰にあえぐ豆腐や納豆などの業界が連携して、農林水産省に
窮状を訴えている。容器の価格高につながる原油高も加わり、生産者のコスト負担は
深刻だが、中小・零細企業が多いため大手小売り相手の価格交渉力がなく、
値上げできずに苦しんでいる。「このままでは死活問題だ」と、政府を通じて値上げに
対する小売業者や消費者の理解を求めていく構えだ。
値上げに向けて共同歩調を取っているのは、豆腐、納豆、生めん、こんにゃくの生産者が
それぞれ加盟する4業界団体。今年1月、各団体加盟の計60社を対象に実施した値上げ
交渉の実態などについてのアンケート結果を農水省に提示した。
アンケートでは「すでに値上げした」と答えた企業は4割にとどまり、「これから交渉する」との
回答が6割に上った。「小売価格の5〜6割で卸している」など、厳しい取引を強いられている
事例もあったという。
値上げができずにいる業者の多くは、スーパーなど小売業者の競争が激しい都市部に
集中していた。4業種は中小・零細企業が大半を占め、大手スーパーとの価格交渉力が弱い。
業界には「値上げを要求したら、取引を別の業者に代えると言われた」など、
切実な声も寄せられている。
業界内には「大手スーパーは優越的地位を乱用しており、独占禁止法に違反している」として、
公正取引委員会への訴えを主張する強硬論もある。一方で、「スーパーとは持ちつ持たれつの
関係だから、全面的には対立できない」との声も根強い。業界団体がまとまって直接、
大手小売りに値上げを要請すれば、逆に独禁法が禁止する価格カルテルに抵触する恐れもあり、
なかなか動きづらい。
このため、農水省に窮状を訴えることで、原料高騰について消費への周知を図ってもらい、
値上げへの国民的理解が広がることを期待している。日本豆腐協会は「廃業する企業が
年間500社以上に上るなど、価格維持は限界を超えている。このままでは、消費者に
対する安定供給すら難しくなる」と訴えている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080307-00000007-mai-soci