名古屋駅前の超高層ビル「ミッドランドスクエア」が全面開業から6日で1年。
高級ブランド店がひしめく「新名所」の注目度は高く、これまでに約1700万人が来場。
初年度の売上高は約二百三十億円と予想の百六十億円を大幅に上回った。
だが、この好調さは「元気なナゴヤ経済」に支えられた面が否めない。株安が止まらず、
日本経済の先行き懸念が強まる中、「今年前半が正念場」(経済アナリスト)という見方も出ている。
ミッドランドにはルイ・ヴィトン、カルティエ、ロエベなど高級ブランドの大型店が集積。
日本に初上陸したフランス料理店などもあり、入居する計約60店の多くに「名古屋初」をそろえた。
流行や文化の発信基地にしたいという狙いは当たり、主要顧客の女性の心をとらえた上、
観光ガイドが名古屋の目玉として取り上げたこともあって「観光客や家族連れなど幅広い
層に来てもらえた」(ビルを運営する東和不動産)という。
ただ、「新鮮さ」も徐々に薄れる。ある物販店は「平日の客が減っている。ブランド店以外では
苦戦している店も多いのでは」と打ち明ける。高層棟(247メートル)の展望台は昨年3月には
16万人が利用したが、今年1、2月の平均は約3万人にとどまった。
ビル側は多彩なイベントの開催など飽きさせない仕掛けを計画中で、リピーター確保を目指す。
経済情勢も不安要因だ。「株安になると高額品が最初に落ち込む」(名古屋の百貨店関係者)
という指摘があり、けん引役のブランド店も安泰ではないとみられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの内田俊宏エコノミストは「名古屋駅周辺は輸出が好調な
自動車関連などの企業が集まる場所。米国景気が減速すると吹いていた追い風が逆風に
なってしまい、消費者心理も悪化する」と指摘している。
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20080305038.html