厚生労働省は3月3日、「看護基礎教育のあり方に関する懇談会」
(座長=田中滋・慶応義塾大大学院経営学管理研究科教授)を開き、
在宅医療にかかわる医師、看護師、保健師の3人から意見を聴いた。
これからの高齢社会に求められる看護師像について、
3人が共通して指摘したのは多職種間の連携をコーディネートする
訪問看護師の高い資質で、「急性期看護の上級編が訪問看護」との意見もあった。
在宅医療にかかわる医師は「教育者が在宅医療を知らない。
訪問看護の経験のない者が教員に多い」と苦言を呈し、
在宅医療の経験がない看護学校の教員が多いことを問題視した。(新井裕充)
最初に、栃木県小山市のおやま城北クリニック院長の太田秀樹氏
(医療法人アスムス理事長)が、17年間の在宅医療の経験を踏まえて
日本の看護教育への要望などを述べた。
太田氏は、急性期病院での看護(急性期看護)と在宅医療での
看護(生活期看護)との違いに触れ、「急性期看護はレベルが高く、
生活期看護は療養上の世話と考えられる傾向がある」と指摘。
「看護学生に実習で在宅医療を経験させると感動して帰っていく。
しかし、卒業して大病院に就職すると『病院の看護師は素晴らしい』と刷り込まれる。
それを何とかしなければならない。“お世話”を格下に見るが、それすらできない」と苦言を呈した。
太田氏はまた、
「看護学校の教員は訪問看護を想像で語る。訪問看護の経験のない者が教員に多いが、
せめてケアマネジャーの資格ぐらいは取ってほしい」と注文を付けた。
その上で、訪問看護に特化した看護師養成校をつくる必要性を指摘した。
続いて、東京都新宿区のケアーズ白十字訪問看護ステーションの秋山正子氏は
訪問看護師に求められる能力として「全体像を把握できる能力」を挙げ、
訪問看護では(1)自立した判断、(2)多様な情報への対応、
(3)患者の家族や関係者との調整能力――が求められるとした。
また、島根県健康福祉部健康推進課の永江尚美氏は保健師の立場から
訪問看護師に求められる役割について述べ、地域住民とのコミュニケーション能力や、
医療・介護・福祉と住民をつなぐコーディネート能力など、
「地域の多様な関係者との調整能力などが必要」とした。
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ソース
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14809.html