ミシェル・ゴンドリー監督『Soyez sympa, rembobinez 巻き戻し、お願いします』は、おもちゃ箱を
ひっくり返したような映画だ。
舞台は、マンハッタンから13キロ、ニュージャージーのとある町にある〈Be kind rewind〉(この
作品の原題)という店名のビデオ屋さん。ここはDVD の世の中になっても未だVHSをレンタル
しているという時代遅れの店。
店員のマイクと親友のジェリーが、店主の留守中に、とんでもないことをしでかす。体内に磁気を
仕込んでしまったジェリーが知らずに店内のVHSの中身を全部消してしまう。数少ない顧客の
ニーズに応えるために、なんと二人は、自ら著名なる映画作品の数々のリメイクを始める。
『ゴーストバスターズ』、『ドライビング Miss デイジー』…、果ては『2001年宇宙の旅』まで。
意外やこのハチャメチャなリメイク・シリーズが地元民の間で大人気になり、店の前には長蛇の列が…。
そこに旅先でDVDに切り替えなければ時代に遅れると悟った店主が帰って来るのだが…。
とにかくギャグの満載で、あまりのバカバカしさに笑い転げていると、なんか次第に、ほんのりした
気分に包まれてくる。そもそもゴンドリーという監督自身がずっとずっと少年の夢を持ち続けていて
子供みたいなところがある。
いつもいつも色んなアイデアが沸いて、それを形にしている。本作は前作『恋愛睡眠のすすめ』以上に、
そんなゴンドリー・ワールドが開花している。
もちろん映画への愛、消えゆくメディアVHS(お世話になりました!)へのメランコリー、そしていとおしき
人たちへのオマージュが底辺に流れているのだが、「みんなで力を合わせて何かを作り上げる喜び」を
監督は主張する。
下手くそでもいい、アマチュアのままでいい、作り手になろう。
ソース:
http://www.ilyfunet.com/ovni/2008/627/cinema.php OVNI 2008年3月1日
依頼スレ#434より