環境に配慮した商品のお墨付きになってきた「エコマーク」などの信頼性が揺らいでいる。
再生紙やインキ、プラスチックのメーカーで次々明るみに出た古紙配合率などの偽装で、ウソを追
認した形になったため。エコマークでは偽装が判明した分野が認定商品全体の半分近くを占める。広
報紙で環境マークの使用を見合わせる自治体も出てきた。
「20年近くかかって築き上げてきたマークの信頼ががらがらと崩れた」
製紙会社など18社で発覚した古紙配合率水増しに、インキ会社14社とプラスチック会社1社の原
材料成分の虚偽表示。エコマーク事務局のある「日本環境協会」(東京都港区)の宮川昌治企画部
長は1月以降の偽装発覚ラッシュに頭を抱える。
同協会は商品別に製造や使用、廃棄の段階で環境負荷の少ない基準を定めている。認定の審査
は、企業からの提供データに誤りがないという前提。現在、約4800の商品がエコマーク認定を受け
ており、この半数近くは偽装の対象になった紙類やインキ、再生プラスチックなどだ。
1989年にエコマークが誕生して以来、大企業の申請データ偽装が発覚したのは初めて。危機感
を募らせた同協会では、すでにマークの使用継続を希望している製紙会社5社8工場で、本当に古
紙があるかどうかを立ち入り調査。プラスチックなどの約800社には自主点検を要請した。企業か
ら申請されたデータを検証する仕組み作りも検討している。
環境マークは90年ごろから、「地球に優しい商品を買おう」という消費者運動とともに広まり始めた。
業界団体や自治体、企業などが定めるマークは90以上あるが、メーカーが基準を満たしていると判
断すれば、使用可能なものも多く、専門家で作る委員会で審査するエコマークは信頼度が高いと言
われてきた。
マークの信頼失墜で、横浜市や東京都目黒区、板橋区などでは、パンフレットや広報紙への「Rマ
ーク」(再生紙使用マーク)使用を当面見合わせることを決定。横浜市温暖化対策課では「製紙業界
が配合率を客観的に検証できる仕組みを作るまでは、使用を控えたい」と話す。
製品の環境評価に詳しい安井至・東大名誉教授は「環境に配慮した製品とはどのようなものかとい
う議論のないまま、イメージばかりが先行してきたことも環境偽装を生んだ一因だ。今回の問題を教
訓に、企業は原材料や生産方法を積極的に公開するようにすべきだ」と提言している。
ソース:読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080303-OYT1T00071.htm?from=main3