廃校となった墨田区の小学校校舎が改修され、新たに2010年度から障害者施設として
生まれ変わってオープンすることになった。同区では、少子化で小学校の統廃合が進む一方で、
障害者施設は慢性的に不足している。区は「再利用で建設費も工期も抑えられ、
定員増に対応できる」として、今後の施設再利用のモデルケースとしたい考えだ。
改修されるのは、1999年に統廃合された旧文花小学校(文花1)の南棟1階部分
約650平方メートル。区が社会福祉法人などに運営を委託する。
西側の約250平方メートルは、障害児デイサービス施設として、発達障害などの
未就学児童や低学年児童を対象とした療育と個別相談の場として活用する。
東側約400平方メートルでは、障害者生活介護施設として、重度心身障害者の
作業訓練や生活訓練を行う。
区には、すみだ福祉保健センター(向島3)内に療育施設「みつばち園」と、重度知的障害者施設
「はばたき福祉園」があるが、年々利用希望者が増加。特にみつばち園の場合、発達障害などの
相談が多くなり、この5年間で利用者は約150人から約250人に増え、施設整備が
追いつかない状況だ。はばたき福祉園も、利用希望者が定員を超えており、
「両施設とも限界状態」(区障害者福祉課)だった。
通常、障害者施設の建設は、用地取得に加え、周辺住民への説明などに多大な時間がかかる。
一方、区内ではここ9年間で小中10校が統廃合され、その施設再利用の方法が検討されてきた。
ところが、障害者施設には細かい施設設置基準が定められ、これまではなかなかほかの施設を
再利用することができなかった。
今回の校舎改築計画は、06年施行の障害者自立支援法によって、この設置基準が緩和された
ことから実現。同小には障害者が通っていた実績もあり、地域住民の理解も得られやすかったという。
総事業費は約2億5000万円で、工期は半年の予定で今年の夏に着工する。
区によると、同程度の施設を新築した場合、事業費は約3億5000万円必要で、工期も新築では
1年半かかるという。「用地取得費や校舎の解体費も節約できる」(同課)という。
新たに生まれ変わる施設では、デイサービス施設と生活介護施設の双方に専用の出入り口を設けたり、
校舎と外部フェンスとの間に園芸スペースを設けたりする予定で、同課は「既存の施設に加え、
使えるものはどんどん使い、利用者の要望に迅速に応えたい」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20080228-OYT8T00101.htm?from=navr