NHK記者らによる「カッパ・クリエイト」株のインサイダー取引事件で、放送前の原稿が局内の端末などで閲覧可能になる前に
同社株を買い付けていた地方放送局の職員は、先に入力されていたニュースの「見出し」を見て情報を知ったことが、
証券取引等監視委員会の調べでわかった。
監視委は、このため原稿を閲覧できるようになる十数分前からインサイダー取引が行われていたと認定。29日に、3人に対して
計約47万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告する。
勧告の対象は、報道局テレビニュース部制作記者(33)と岐阜放送局記者(30)、水戸放送局ディレクター(40)の3人。
3人は昨年3月8日、NHKが午後3時から特ダネとして放送した外食大手「ゼンショー」が回転ずしチェーン「カッパ・クリエイト」を
グループ会社化するという情報を放送前に知り、インターネット取引で同社株を1000〜3150株買い付けたという。
NHKは当時、放送の数十分前に流される予定のニュースの「見出し」が各部署の端末で広く閲覧できるようになり、その後、
原稿が入力され、同時に放送センター(東京都渋谷区)内のニュースセンターでは簡単な内容を局内放送でも知らせていた。
カッパ・クリエイトのグループ化の原稿は午後2時38分に閲覧可能になったが、「見出し」はこれ以前から見られたという。
監視委の調べによると、報道局の制作記者は局内放送、地方放送局の職員のうち1人は端末などで原稿を読んで情報を把握したが、
別の1人は「見出し」を見て、これより十数分前に株を買い付けていたという。
3人はいずれも不正取引を認めており、値上がりした翌日午前に売り抜けて、それぞれ9万8000円〜51万4900円、計106万円の利益を上げていた。
課徴金額は、重要事実が公表された翌日の終値から、買い付け価格を引いた金額をもとに算定されるが、カッパ・クリエイト株の
株価は公表翌日に下落したため、課徴金額は6万〜26万円で利益の半分程度にとどまる。
ソース:
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080226-OYT1T00820.htm 読売新聞 2008年2月27日03時04分