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http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14633.html 孤立死がゼロの社会は、個人情報の管理が徹底された「監視社会」だろうか。
独り暮らしで誰にもみとられずに死亡する「孤独死」が社会問題となる中、
厚生労働省は孤立死をなくすための検討会を昨年8月から開催している。
この会議では、独り暮らしの高齢者だけでなく、
地域社会から「孤立」している人を広く対象にした情報取得が必要であるという方向で議論が進んでいる。
高齢者らが安心して暮らせる地域のコミュニティーづくりは社会福祉に欠かせない重要な取り組みだが、
互いに見張り合う監視社会に向かう危険性もはらんでいる。
厚労省は2月19日、「高齢者などが一人でも安心して暮らせるコミュニティーづくり推進会議(「孤立死ゼロ」を目指して)」
(議長=高橋紘士・立教大大学院21世紀社会デザイン研究科教授)を開催し、
これまでの議論をまとめた「論点整理案」を示した。
整理案によると、高齢化や核家族化の進行、
マンション世帯の増加などにより地域における「つながり」が喪失しているため、
孤立死を防止するためには地域のつながりを再構築する必要があるとしている。
その上で、災害時などに支援を必要とする者の情報を関係者間で共有する必要性を述べている。
具体的には、高齢者などが地域社会から孤立しないよう、福祉行政、消防、水道などの公的機関や、
あらゆる世帯を対象とする公共サービス(電気、ガス)、社会福祉協議会、自治会、民生委員やケアマネジャーなどが
主体となって多様な「つながり」をつくることが重要であり、「多様な主体の間で一定の情報を共有することが肝要である」としている。
これに対して、この日の会合で園田眞理子委員(明治大理工学部建築学科教授)が「情報を共有する以前に、
個人情報をどう把握するか、情報をいかに作るかが重要だ」と指摘。
その後の議論は、情報の取得や提供などをめぐる問題に集中した。
これまでの議論では、自分の情報を開示することを望まない人や、
地域社会とのつながりを持つことを望まない人が少なくないことが個人情報を取得する上で障害になっていることが指摘されている。
この日は、個人情報保護法やプライバシーに対する関係者の「過剰反応」が問題になった。
本人の同意を得ないで情報を共有することは「情報の第三者提供となり、
個人情報保護法で禁止されるのではないか」との意識が関係者の間にあるという。
鷲見よしみ委員(日本介護支援専門員協会副会長)は
「民生委員から情報を提供されることは少ないが、逆は多い。
ケアマネジャーから民生委員に情報を出していいのかが難しい。ここがスムーズにいくことがカギだろう」と指摘した。
続きます