教育委員の会社 市議会告発せず
さいたま市庁舎の清掃作業を請け負っているビルメンテナンス会社の作業員が、同市議会の
議員控室内で盗みを重ねていたことが18日、わかった。市議が取り付けた防犯カメラで犯行
が発覚し、被害額は約1年間で総額約85万円に上る。同社の代表は市教育委員を兼務してい
る。市議会は浦和署に事件を報告したが、刑事告発は見送り、公表もしなかった。
■市議の防犯カメラで発覚
複数の関係者によると、盗難は2006年10月ごろから約1年間続いた。市議会内の自民
党や民主党などの控室で、市議個人の机の引き出しから、個人の小銭や議員団の金などが相次
いで盗まれた。
業を煮やした自民党市議が07年10月初め、同党控室内に2台の防犯カメラを設置。数日
後に確認したところ、清掃作業姿の男が机の中から物を持ち出そうとしている姿が写っていた。
市議らは、清掃作業を請け負うビルメンテナンス業「アイル・コーポレーション」(さいた
ま市浦和区)に連絡。同社が当日、作業に従事したパート雇用の60歳代の男性作業員を問い
ただしたところ、犯行を認めたため、同社は07年10月6日付で懲戒解雇した。
同社によると、この作業員は「盗みはかなりの回数にわたり計80万円を超えた」「議員控
室以外からは盗んでいない」などと供述。盗んだ金品はすでに本人が市議らに弁済したという。
市議会では、作業員がすでに社会的制裁を受けていることなどを考慮し、告発は見送り、浦
和署長あてに報告した。
同社は2年連続でさいたま市庁舎の清掃業務を受託。代表の籠島延隆氏(74)は02年6
月から市教育委員に選ばれ、現在はナンバー2の委員長職務代理者を務めている。
清掃作業を委託している市は、同社に対し、再発防止と社員教育の徹底などを求めて厳重注
意した。同社は「市と市議会には謝罪したが、あってはならないこと。再発防止に努めたい」
と話している。
埼玉 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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