日本社会福祉士会は、所属する東京の四十代の女性社会福祉士が生活支援先の
女性=当時(86)=の遺産のうち約三百五十万円を受け取り、報酬以外の金品の
受領を禁じた同会倫理綱領に抵触したとして、十六日の理事会で処分を決める。
処分は一九九三年の同会設立後、初めて。
同会などによると、社会福祉士は二○○六年、高齢者の介護や財産管理などを
請け負うNPO法人職員として、独り暮らしの女性の遺言作成を手伝った。遺書は
社会福祉士を遺産分配の執行人にするとともに、三百四十七万円を社会福祉士に
配分すると定めた。
女性が死亡した昨年四月、社会福祉士は遺産を相続。遺言作成の経緯などに
不信感を抱いた親族の苦情を受けて同会で調べてきた。
社会福祉士は、都内の社会福祉協議会職員だった約十年前、相談業務で女性と
知り合ったとされる。NPO法人は社会福祉士に相続権の放棄を求めたが、
拒否されたため解雇したという。
このほか同会の調査で、女性が認知症などを発症した場合、代わって財産管理する
任意後見人に、社会福祉士の夫を就かせる契約も結んでいたことも判明している。
同会は「高い倫理を求められる職務を再認識し、こうした事態を再発させないように
する」としている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/76142.html