豆腐製造に使う「にがり」の主成分、塩化マグネシウムの粉末を「がんでも治す」とうたい、医薬品
として無許可で販売した疑いがあるとして、愛知県警が名古屋市緑区内の獣医師(68)の自宅など
を薬事法違反(無許可の医薬品販売)容疑で家宅捜索していたことがわかった。飲用して脱水症状
を起こし、衰弱死した高齢者もいるという。獣医師は過去にも同じ商品を医薬品として無許可で販売
するなどして2度、有罪判決を受けた。県警は悪質性が高いと判断、週明けにも本格的な捜査に乗り
出す。
獣医師は朝日新聞の取材に対し「塩化マグネシウムを主成分とする機能性食品で、副作用はない」
とし、医師免許を持たずに治療していたことについては、「治療は研究の一環だ」と話し、違法性を否定
した。
県警生活経済課や緑署などの調べでは、「がんなど、すべての病気を治す」などとうたって、塩化マ
グネシウムの粉末を180グラム瓶詰めにした「機能性食品MG―PRO」と称する商品を無許可で販売
した疑い。獣医師は医師免許を持っていないが、名古屋市内で、口コミで集まったがん患者などの高
齢者らに問診や触診を実施していたという。
塩化マグネシウムは、大量に摂取すれば、下痢などの症状を起こす。県警は少なくとも数件の健康
被害を把握。一部の被害者から相談を受け、昨年12月中旬に家宅捜索を実施した。今後、商品の投
与と健康被害との因果関係も調べる方針だ。
獣医師は、業者から塩化マグネシウムを仕入れ、「研究所」で瓶に詰め、「機能性食品」と印刷したラ
ベルを張り、180グラム入りを1瓶1万500円で販売していた。獣医師の免許を持っているが、現在は
引退している。獣医師は89年と97年にも同じ商品で薬事法違反の罪に問われ、有罪判決を受けた。
獣医師は朝日新聞の取材に、00年以降、患者は延べ300人に上り、現在も約10人の患者を「診察」
していると認めた。患者は20代から70代までにわたっているという。
獣医師によると、89年ごろ、塩化マグネシウムを瓶詰めした「機能性食品」の生産を始め、92年ごろ
から販売を開始。00年ごろ、名古屋市緑区に「研究所」と呼ぶ治療施設を開設した。
ソース:朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0126/NGY200801260012.html