配偶者と適度にけんかするのは、健康に良い影響を与える可能性があることが、米研究チームの調査
により明らかになった。怒りを抑圧した夫婦の死亡率は、少なくとも一方が感情を表現した夫婦の2倍
にも上るという。
調査を行ったのは米ミシガン大学(University of Michigan)のErnest Harburg名誉教授率いる研
究チーム。調査は、ミシガン州の中産階級の白人が大多数を占める町で、192組の米国人夫婦を対象に
行われた。対象となった女性の大半は、性革命が起こる前に生まれた主婦。
既往の研究では、怒りを抑圧すると心臓病や高血圧など、ストレスに関連した病気にかかりやすく
なることが示されている。今回の調査では、結婚生活において抑圧された怒りとその結果として形づ
くられた不快感が、死亡率に与える影響について追究された。年齢、喫煙、体重、血圧、気管支障害、
呼吸、心血管系リスクなどを考慮に入れ調整されている。
研究チームは1971年に、配偶者が相手の不公平と思われる態度に対してどう反応するか、聞き取り
調査を実施した。夫婦ともに怒りを抑圧していたのは26組で、少なくとも一方が感情を表現していた
のは166組だった。
チームはその後1988年まで17年にわたり夫婦の生存を調査した。その結果、ともに怒りを抑圧してい
た夫婦の半数は、少なくとも夫婦のどちらかが死亡していたことが分かった。一方、少なくとも一方が
感情を表現していた夫婦については、どちらかが死亡した割合は26%にとどまった。さらに、夫婦とも
に死亡した確率については、感情を抑圧していた夫婦がそうでない夫婦の5倍近くに達することが分かった。
「結婚生活で重要なことの1つは、けんかをした後の仲直りだ。けんかを解決せずに、怒りを押さえつ
けてくよくよ考えたり相手を恨んだりすると、トラブルに陥る」とHarburg名誉教授は語る。
また同教授は、この研究結果は初期段階のものであり、また夫婦関係についての最新のデータは反映
されていないとして、「30年後の生存率を分析すればより信頼できる結果が得られる」と指摘している。
研究成果はJournal of Family Communication1月号に掲載される。
AFPBB News
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2340931/2555488